カニ。 / 赤坂見附 Algernon Syn.

2013/10/24

フードメニューをお出しすると、かなりの確率で、
オーダーを頂く当店の『ズワイガニの蒸し焼き』。
2種のパスタの中では圧倒的な人気を誇る『ズワイガニのトマトソースパスタ』。

Barにカニ?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
わたしがアルジャーノンに配属される前の勤め先は、系列店の、代々木上原Canned Crab Bar
通称カニカンという、カニのあるBARでした。
カウンターに立つ頻度よりも、鉄板でカニを調理することの方が多いほどでした。笑

そしてカニを携えて場所を変え、今に至るわけです。笑

今日はカニのお話。

日本でカニを生産している地域は日本海側の地域に多く、種類も様々なのですが、
カニだけでなく、海産物の産地として最も有名なのが北海道。

やはり歴史もあるのです。

さて、北海道でのカニ漁は、いつごろから始まったのでしょうか?

いろいろな書物を紐解いてみると…江戸時代の後期あたりには、
いわゆる今でいう北方領土と呼ばれる場所が漁業の基地で、
活発にカニ漁が行われていたと言われています。

この場所はちょうど、寒流の千島海流と暖流である日本海流の交差するところに当たるので、
餌であるプランクトンを豊富に取り込んだふくよかな魚介類を収穫することができます。

なんとこの当時、カニは一般的に「塩蔵」されて、本州の方にも流れていたそうです。
ご存知でしたか?

それから、海産物の販売は現代の形にどんどん近づいてゆくのです。

明治に入ると、魚介類を『缶詰』にして販売するようになります。
市場も色々な魚介類を缶詰で販売するという体制が整い、
現在では一般的な『サケの缶詰』などもこの頃に登場しているのですが、
北海道の一部の人は、カニも缶詰にすることはできないかと色々と研究を重ねていました。

しかしカニの場合、そのままの状態で缶詰にすると、中の肉が酸化を起こしてしまうのです。
しかし、それでも諦めることなくいろいろと研究を重ねた結果、硫酸紙で包み込むことによって、
カニの肉質は酸化しないということが分かり、販売されるに至ります。

こうしてカニの缶詰が販売されることになり、全盛期には海外へも輸出されるという、
当時としては花型の商品になっていったのです。

大正時代になると、缶詰製造の過程で機械が導入されるようになっていきます。
製造効率を飛躍的にアップすることに成功したのです。

生産性が上がった工場でのカニの缶詰生産量は、飛躍的に発展を遂げることになっていきます。

昭和に入って太平洋戦争が勃発し、長期に渡った戦争による国内産業の疲弊や、
敗北を喫したことによって一時、カニの缶詰の生産は激減することになりましたが、
その後再び持ち直し、当時ソビエトの主張する12海里を超えて、
カニ漁をする漁船も次第に増えていきました。

その結果戦争直後は数社しかなかったカニの缶詰工場が、北海道を中心に再び復興を遂げたのです。

昭和30年代に入り隆盛を極めたカニ漁。
しかし、間も無くして 再び激減をしていくことになります。

その理由は昭和52年に起きた、200カイリの漁業専管水域の設定。

この設定を境にして、カニ漁の主力拠点はすべて当時のソ連の専管水域の中に入ってしまいました。
特に高級品のタラバガニ漁へのダメージはとても深刻だったと言われています。

当時の輸送手段は、昔の国鉄に限られていました。
発泡スチロールを使い加工をして運搬するという技術はなく、
木箱をつかって、カニの搬出を行うしかありませんでした

そのため日本国内に出回るカニの数というのは、非常に限られたものになっていきます。
この大きなピンチに悩まされ、カニ漁を辞めていく漁師も増えていったといいます。

しかし、残された日本の漁師は負けませんでした。

数年後、漁師の減少に伴い、希少となったカニの価値が大爆発したのでした。

そして昭和50年後半に入り航空便を使ってより早く届けたり、
保冷車を使って搬送をすることもできるようになったことで、
プレミア高級食材として、カニは再びクローズアップされることになるわけです。

そして現在も、カニはなかなか口にする機会のない特別な食材として皆に愛されています。

そんな貴重なカニ。

当店では毎日お召し上がりいただけます。しっかり食べやすく処理もしております(^^)

白ワインと一緒にいかがでしょう?

$bar Algernon Synonym 赤坂見附

リ・エレミ ヴェルディッキオ100%

イタリア、マルケ州の白。マルケといえばヴェルディッキオ、そして魚介の料理。

Takayo Mano

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bar Algernon Synonym / 赤坂見附

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