日本人について。 / 赤坂見附 Algernon Synonym

2013/08/22

先日18日、世界陸上モスクワ大会が閉幕し、たくさんの選手が
世界にまた歴史を刻んで国々へ帰国して行きました。

私自身、陸上競技をやっていたので、この大会を非常に楽しみにしていました。

まあ、一日もテレビで見ることは出来ませんでしたが笑

陸上競技ってとってもシンプルですよね。

人間の運動能力の基礎の基礎を磨きに磨き上げて一番を目指す。

バスケやサッカーとは違って、基本的には単独プレイ、
『何が面白いの?』ってことはよく聞かれました。

しかも私の競技は砲丸投げ。

4kgの鉄球をいかに遠くに飛ばすか。を競う競技です。

はい。面白さは皆無です。笑

でも、砲丸投げを本気でやった人しか分からない感覚、その中で味わう快感があるんですよね。

『快感』が醍醐味の砲丸投げ。

でも実は、そんな選手を支える技術者が日本にいる、って知ってますか?

私が知る技術者の中で、最も地味で、最もシンプルな技術者。砲丸を作る職人です。

砲丸って、見た目は全部同じですが、同じ重さでも、重心のズレや大きさの違いがあるんです。

あれって実は手にとった瞬間に良し悪しが判断できるんですよ。

世界最高品質の砲丸を作る職人は、日本人です。

しかも、コンピュータは使いません。

鉄を、自らの感覚で削って行くのです。

世界陸上競技はもちろん、オリンピックなどの世界大会で最も選手に指示されている砲丸です。

一番凄いのは、削る行程でのこと。

その技術者は、削られて行く砲丸を一切見ないんです。

削る『音』の高低差だけで砲丸の重心をほぼ狂いなく作り上げていきます。

第一印象は、変態だな。でした。笑

ただでさえ地味な競技、しかしそれを支える技術者は、
生涯をかけて更なる地味な作業に命をかけているんです。

気がつかないところで、栄光はたくさんの人間に支えられているものだ、
と、昔陸上の恩師に言われたことがありました。

バーテンダーも、他の職業も、みんな同じですね。

現役当初、その事実を知って、砲丸が何故か非常にありがたい球に見えたことがあります。

どんなものにも、感謝の気持ちは忘れないようにせねばですね。

ちょっとマニアックな話題ですみません。笑

よし、今日はこれをオススメします。

ザ モダンマスターズ ベンリアック 1975

$bar Algernon Synonym 赤坂見附

今宵はウイスキー職人の凄さを舌と鼻で感じませんか?

Takayo Mano

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