独立開業支援について(2)

2017/10/09

in: Recruit

 

前回は「BARの独立開業は早ければ早いほうがいい」
という結論について、起業を目指すバーテンダーの
一歩目の話を簡単に書きました。

今回は、BARという業態特性から考える早い独立開業についての話です。

 

外食産業の中に、BAR業態も入れて考えるのであれば、
そのビジネスモデルは相対的に
ローリスクローリターンであると言えます。

よく飲食店は3年で半分つぶれるとか、
10年後に残るのは1割とか(前提条件が曖昧過ぎて、
どうかと思う話ではあるけど)言われる中、
一般的に、オーナーバーテンダーが
自らカウンターに立つ小箱のBARは、簡単にはつぶれません。

もちろん、いくらかの「当たり前」については、
できていることが前提ですが、実は、赤字経営が原因で
クローズに陥ることが、相対的には少ない業態です。

一般外食業と同様に、主要コストといえば、
人件費、商品原価、テナント賃料。

現場で、自身ひとりで店をまわしているのであれば、人件費はゼロです。

自らが考える、最低限生きていくための生活費だけあればいい。

実際、自分は開業時、オープンから1年くらいは然程の利益も出ず、
アルバイト収入で生活してました。

逆に言えば、それで生活できてました。

また、仮にバーテンダーを雇用しても、私たちの業界の賃金水準は、
ナイト業態ではもちろん、一般外食と比較しても相当に低めです。

同業種の中では、まだまだ人気職種であることが背景にあり、
良い悪いは置いといて、運営視点で言えば
人件費がかからないという話です。

夜間にサービスを提供し、アルコールを扱っているわけですから、
商品原価も低めの設定です。

長期保存の効く商材が主であり、
レストラン等に比べれば、廃棄ロスも微々たるもの。

 

そして、BARであれば、インフラ型飲食店のような
一等立地も必要ありません。

隠れ家としてB立地や地下&空中階でもやっていけるので賃料も安い。

つまり、主要コストが総じて低いわけです。

これは、主として内装などに反映されるこだわりや嗜好性を除けば、
イニシャルコストでも同様です。設備も軽いしね。

少し乱暴ではあるけど、結論、BARはお金が掛からないので、
滅多につぶれないのです。

 

但し、儲からない業態でもあります。

私たちがお客様から頂戴している会計には、酒や料理代、
サービスはもちろん、その空間や時間といった概念もあります。

お客様同士の譲り合いのマナーを除いては、
ご来店いただいたお客様には、心ゆくまでゆっくりと
滞在していただきたいと思うのがバーテンダーというもの。

これを商いの観点で言うと、
客席回転率1.0で商売が成り立つのがBARです。

その数字で成り立つということは、
そこから少し色を付けた辺りの運営が
ボリュームゾーンになっているということ。

席数と回転数に制限がかかりやすいが故に売上天井は低くなります。

外食ビジネスで活躍するリーダーたちの中は、
バーテンダー出身とか、1店舗目がBARだったという方が
意外とたくさんいるのに、BARで店舗展開をかけるケースは少ない。

その理由には、属人性の高さと並んで、売上天井の低さがあるようです。

低い資金投資ではじめられるのであれば、
当然開業のハードルは下がります。

 

同時に低リターンであるなら、創意工夫で業績を上げることはもちろん、
最も確実な上積みの方法論は「時間」の投資です。

コンセプトの強い都心型の店を除いて、
BARは基本的にスロースターターです。

一見のお客様が次から次に利用されるのではなく、
お客様と店が信頼関係をつくって繰り返しご利用いただくことで
成り立っている業態、であれば時間がかかるのは当然。

そこが今時の飲食店と一線を画しているわけですね。

開業時にお客様が少なくても、
時間を投資していくことで業績向上が見込めます。

そしてそれを可能にするランニングコストの低さもあります。

 

であれば、あとはそこを運営する「人」が時間を投資できるかどうか。

時間という資源を潤沢にするためには、
スタートを早く切らなきゃいけない。

私はひとつの飲食店を経営するより、バーテンダーとして、
本物の技術知識や人間性を身に着けることのほうが難易度高く、
時間を要すると考えています。

故に、バーテンダーとして大成してから
独立開業を考えるという順番には、必ずしも賛同していません。

そもそも「ひとつずつ順番に」なんて考え方自体が
仕事として成り立ってないように思うんです。

志を持って、バーテンダーとして研鑽を積むのであれば、
自身の店があるという環境は必ずプラスに作用します。

並行して、お客様からの信頼を積み重ね、
焦らずに店舗業績を上げていく。

より大きな将来図を描くのであれば、
早い開業を視野に入れておくべきです。

BARは業態特性の観点からも早期開業に適しています。

 

意外と長くなってしまったので、より具体的なキャリアパスや、
私たちのプラットフォームにある支援策については、また次回。

 

Nobuhide Kobayashi

 

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