“Fioghinn agus Soir Bhuanaghadh” という名のもとに/八嶋

2007/11/26

in: Vision

Visionの八嶋です。アイラ島の南から島の中央にまで切り込んだ深い入り江
「ロッホ・インダール」。その中ほどに、金色のパゴダを思わせる双塔のキルンが
そびえています。それが蒸溜所のシンボル、麦芽乾燥塔です。今も昔ながらの
フロア式モルティングを守っている最も伝統的な蒸溜所がそこにあります。
かもめが舞う浜辺で、ここの貯蔵庫は波しぶきを浴びています。
この海の香りがアイラモルトの魅力の秘密。ピートにも長い間に潮風がしみこんで、
海藻の匂いがします。村の家並も人々の暮らしも、昔のまま。春になると
蒸溜所の男達が3人一組みで湿原に出かけ、独特な形のシャベルでピートを切り出します。
それだけ伝統や熟練の技が大切にされ、島の自然風土の特徴がストレートにでた
ウイスキーが生まれてくるのです。そう、ボウモア蒸溜所のコトです。

蒸溜所の創設は古く、1779年。荒涼たる孤島でのウイスキー造りは輸送が大変でした。
しかし、島の男達が磨きあげてきた伝統の技の結晶には、それだけの個性がありました。
早くも18世紀には、ボウモア村のウイスキーは、"Fioghinn agus Soir Bhuanaghadh"
「豊かで洗練された品質」というフレーズと共に知れわたっていたのです。
今では、「アイラモルトの女王」と呼ばれるにまでなり。。

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ロッホインダール 1990 17年 ディスティラリーコレクション
柑橘系の甘い香りが柔らかく広がり、熟成感を感じます。スムースでオイリーな舌触り
徐々に塩っぽさが出てきてピート感、スモーキーフレーバーへとシフトします。
香りに、パフューミーなところは一切感じられず、潮っぽい部分が強くあります。
刺激も強すぎず、穏やかな潮のニュアンスと煙がフィニッシュまでずっと続きます。
60年代のボウモアのようなフルーティーさは感じられませんが、
これからのボウモアの味わいを示唆している印象に残る1本です。

ロッホ・インダールとは湾の名前であり、1929年に閉鎖された蒸溜所の名前です。
そういえば、実際この商品のリリースにあたって、一悶着あったのです。。
最初は海岸から見えるBowmoreの文字のある貯蔵庫を写した蒸留所の写真のラベルでした。
しかし、モリソン・ボウモア社が所有する商標に抵触しているとの指摘があったようで
ラベル表記を「Loch Indaal」に変更してのリリースになったのです。
これからのボトラーズは「ボウモア」の名前を使えなくなっちゃうんですかね!?

そんな今後を占うボウモア、飲まずにはいられませんね。。
今夜もvisionにて、お待ちしております。

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