2015/11/10
スコッチウイスキー編 製造の後半です。
製造工程を大雑把に分けると。。。
です。
前回は1〜3を説明したので、4の蒸留から。
蒸留の役割は、水とアルコールの沸点の差を利用して、アルコールを分離濃縮する事にあります。
蒸留は通常2回行われ、それぞれ役割が違います。
1回めの蒸留は初留と呼ばれ、発酵液を蒸留するのですが、発酵液はろ過されていないため様々な物質が含まれ、それをそのまま加熱することにより、単に気体化するだけではなく、泡沫相という泡立ちが発生します。
泡が発生、弾けることで通常は気化しないで、蒸留液に入らない物質が蒸留器の上部のラインアームに運ばれて、次の工程に移ることで、複雑な味わいを作り出すと言われています。
2回めの蒸留は再留と呼ばれ、1回めの蒸留液を更に蒸留し、前留、本留、後留に分け、本来熟成にまわして
おいしくなる部分の本留を、蒸留所の意図するものとして、取り出して熟成に回す作業です。
この時の本留をどのくらい取るか、どの部分を取るかが蒸留所の作りたい味であり、肝になる部分です。
ちなみに、前留と後留は、次の工程の再留時に混ぜられ、再度蒸留されます。
これはウイスキーが本来は余剰生産物を使用して「もったいない理論」で造られているもののため、無駄を発生させないという理由のほか、再留に混ぜることにより、長期熟成に向く成分が多く取れるようになるという理由もあるようです。
蒸留は直火焚き、間接加熱があり、現在は間接加熱が主流です。
直火焚きは重い液体が取れるのですが、火加減が熟練が必要であり、現在は、グレンフィディック、マッカラン、グレンファークラスなど一部の蒸留所でのみ行われています。
蒸留器の形により蒸留のされやすさが違い、蒸留所の個性が現れます。
蒸留器は見ているだけで美しいので、是非ちょっと気にして見てみてください。
熟成は本留液を樽に詰めて、蒸留後の嫌な香りを取り除き、複雑なフレーバーを増加させる工程です。
樽に詰めることにより、酸化熟成の進行、エステル化の進行(エステルというのがフルーティーさを出す香りの成分)、アルコールと水分子の会合の促進、樽材の溶出などが進行します。
樽は、バーボンを詰めたあとの古樽(通称バーボン樽)と、シェリーを詰めたあとの古樽(シェリー樽)が主流です。通常はバーボン樽は200リットルのものを250リットルに作り変えられたホグスヘッドというサイズのものが主流。
シェリー樽は500リットルのものが主流ですが、サイズにより熟成の進行が変わるので、様々なものが作り分けられています。
最近は、途中で樽を変えることも行われており、より複雑さがましています。
スコッチは3年以上熟成させることが義務付けられています。
ちなみに、シェリー樽というのは、シェリーを熟成させていた樽という認識をしている人も多いと思いますが、実際には熟成ではなく、運搬用に使われていたものが主流。
ただし、一部で熟成に使われていたものを使用する蒸留所もあるとのこと。
最近は、ポート樽、ワイン樽などの他の古樽が使われることや、ミズナラなどの特殊な樽や新樽が使われることもあります。
瓶詰め時は、まずブレンドされるケースが有ります。
樽単位でリリースするシングルカスクはブレンドしませんが、シングルモルトは蒸留所内の樽をブレンドするため、
ブレンダーによるブレンドと、マリッジと言われるなじませる期間があります。
その後、瓶詰めですが、その際に水と着色のためのカラメルの添加が認められています。
また、氷などで冷やした際に白濁を防ぐために冷却ろ過も認められています。
これらをするかしないかにより、各業者のこだわりがあらわれます。
通常は、水やカラメルを加えることで、40〜46度に調整され、リリースされます。
水を加えずにアルコール度が強いままのものをカスクストレングスといいます。
通称略してカスクと言われることも多いです。
ということで、製造工程の話は今回で終了です。
次は何を書こうかな。
お楽しみに。
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