アークライトの紡績工場は、いま蒸留所なんです/八嶋

2008/05/07

in: Vision
Visionの八嶋です。スターリング城やバノックバーンの古戦場、スクーン城などで
知られるパース州。そのパース州の北西部、ティス川のほとりに建つ蒸留所があります。
ハイランドとローランドの境界線から数マイルしか離れていないドゥーンという場所です。
地域区分では、ハイランドに分類されます。
ドゥーンは、昔ピストル製造で有名な地でしたが、後に紡績工業を有する地となりました。
蒸留所の建物も「産業革命の父」といわれたリチャード・アークライトが、
1785年に建てた紡績工場をそのまま利用したもので、建物自体が保存を義務づけられている
ほどの歴史的に重要な建築物なんです。天皇陛下も視察に訪れたことがあるそうです。

アークライトは、1732産まれのイギリスの紡績機改良家。水力紡績機を発明。
1768年綿糸ばかりの丈夫な縦糸紡績技術を発明、特許を得て、ノッキンガムで馬力、
クロムフォードで水力での紡績を開始。のち蒸気力利用も可能にしました。
このことにより、上質の繊維の連続生産を可能にし、キャラコの大量生産が始まり、
綿糸の大衆衣料化を実現。動力源の変化。工場を山間部から平地部へ進出させ、
工場制大規模生産を可能にしました。
ランカシャー州プレストンの貧家に13人兄弟の末子として生まれた彼も18歳で理髪師に
なりながら、全然無知であった発明に没頭し苦心の末にローラー紡績機に到達。
そんな功によりSirの称号を授与されたイギリス産業革命の父なんです。

こうして一時代を築いた紡績工場は、温度と湿度を保つのでウイスキー貯蔵に最適、
また、良質な水がある事やその当時、ウイスキー産業に湧いていた事などが理由となり、
1965年に蒸留所となりました。1980年代半ばに一度閉鎖されましたが、
91年にバーン・スチュワート社が買収。ライトタイプのシングルモルトウイスキーで
ブラックプリンスやバーバリーなどのスコッチウイスキーの重要な原酒で
オフィシャルもリリースされているんです。それは・・・

yashima080507

ディーンストン 25年 オフィシャル
麦芽にピートを焚き込まないのが特徴で、フレッシュでメロー。
かすかに花の香りがする秀逸な酒に仕上がっており、飲み口はスイートでマイルドです。
ローランドモルトのようなライトボディで麦芽本来の風味やナッツっぽさを感じます。
ディーンストンは、ディーンの農場もしくはディーン人の町を意味しています。

蒸留所としては、かなり新しいですが、歴史ある地で作られるシングルモルト。
その割には、ややマイナーでご存知の方も少ないディーンストン。
是非この機会に如何ですかね!?今夜もvisionにて、お待ちしております。

ATCF Ltd. official web site はコチラ

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