セントパトリック・デーには、アイリッシュでしょ／八嶋
2008/03/17
1830年、時間のかかりすぎる伝統的なポットスチル法に代わり、パテントスチルを
使った新しいウィスキー製造法が開発されました。しかし、アイルランド人らは
「ウィスキーはポットで作るもの」と伝統的製造法に固執。その間に、
スコットランド人らが、この新方法を採用し、20世紀初頭には、アイルランドに
移住して主な蒸留所を買収、改造してしまったのです。
こうしてアイルランドは、20世紀に入り、ウィスキーのメッカとしての地位を失い、
それと共に蒸留所の数も減少。さらに、唯一の輸出市場であったアメリカが
禁酒法時代に入り、アイリッシュウィスキーの衰退に拍車がかかったのです。
第二次大戦の終結とともに政府は、輸出からは消費税が得られないという理由で、
ウィスキーの輸出を全面禁止。こうして、それまでに微々たる生産量になっていた
アイリッシュウィスキーは、アイルランド国内でしか流通しなくなりました。
60年代半ば、伝統産業を復活させようという政府の指導の下、残った蒸留所が合併され、
アイリッシュ・ディスティラーズ社が設立。72年には、ブッシュミルズも合併され、
アイルランドのウイスキー市場は、一社による完全な独占状態となりました。
そして、1987年この独占状態に終止符を打つ起業家が現れました。
アイルランドの北東に位置するダンダルク市の東（ダブリンより北に80キロ）
山々に囲まれたクーリー半島にあり、アイルランド政府の経済拡大政策に沿って、
ジョン・ティーリング氏が設立した唯一の純アイルランド資本の独立系蒸留所。
それがクーリー蒸留所です。なんと150年ぶりの新しい蒸留所なんです。
実際の生産は1989年からで、ポットスチルによる3回蒸留ではなく、アイリッシュでは
珍しい2回蒸留が特徴で、アイリッシュ初となるピート麦芽による仕込みを使って
限りなくスコッチの製法に近く、「アイリッシュ」という枠に収まりきらない
まさに「革命児」の面目躍如といった造りなのです。意欲的な商品を次々にリリースし、
着実にその地位を築きつつある蒸留所からの新作が登場しました。
クーリー 1992 12年 エイコーン
エイコーンナチュラルモルトセレクションシリーズのアイリッシュです。
やや深みのある琥珀色。クリーンでシャープな香り、口に含むと、アイリッシュとは
思えないほどピィーティでしっかりとしたスモーキーフレバーが広がり、時間とともに
ナチュラルな甘味、上質な旨味へと変化していきます。1992年9月蒸留、2005年1月瓶詰。
クーリー 1999 6年 ミルロイオブソーホー
1999年6月13日に蒸留、2006年3月27日にファーストフィルバーボンバレルより
289本限定ボトリングのアイリッシュです。
ピーテッド アイリッシュ 1992 ジェームスマッカーサー
ジェームスマッカーサーのオールドマスターズのアイリッシュです。
こちらもクーリー蒸留所のモルトで、ピーティーでバニラのような甘い香り。
スムースで円熟味を感じる味わいでィニッシュは長く麦芽の甘さがでてきます。
1992年蒸留、2004年にカスクナンバー4292の樽よりボトリングされています。
クラオイナモーナ ベリーブラザーズ＆ラッド
レモンピール、軽くクリーンなピート香を感じ、柔らかい麦芽の甘みがゆっくりと
広がり、牧草の香りとともにピートの特徴が感じられるシングルモルトです。
「クラオイ・ナ・モーナ」とは、ゲール語で「ピートの魂」という意味。
また、ラベル図案も「ピート堀り大会」のチャンピオンが描かれています。
まさにピートこそ、クーリーの真髄と云わんばかりに。。
カネマラ カスクストレングス
クーリー蒸留所の初代マネージャーで、アラン蒸溜所のマネージャーも務めた
ゴードン・ミッチェル氏がアイリッシュとしては唯一のピートで乾燥させた麦芽を
使用し、ポットスチルで2回蒸溜するモルトを開発したのが、このカネマラです。
これは19世紀初頭のターフ炭を使用したスモーキーなウイスキーの復刻版です。
1996年の国際ワイン＆スピリッツコンペティションで金賞を受賞しています。
以前、visionでご用意していたバギス＆マッシュポテトのクラシックスタイルが
フェアー期間限定で復活です。アイリッシュモルトと相性抜群ですよ。
期間中もvisionにて、お待ちしております。
