アードモア蒸留所 スコッチモルトウイスキー解説評価 / 吉祥寺 Vision

2022/02/08

アードモア

アードモア蒸留所について、徹底解説していきます。

 

アードモアの地理

生産国:スコットランド
地域:ハイランド

 

アードモア蒸留所データと蒸留設備

所有者:ビームサントリー社
設立年:1898年
年間生産能力:555万リットル
仕込水:ノッカンディーヒルの15の泉
糖化槽:ワンバッチ12トン
発酵槽:ダグラスファー14基
蒸留器:初留4基、再留4基
熟成庫:

 

アードモアの開設

アードモアは1898年創業の蒸留所で、ウィリアム・ティーチャー氏の息子のアダム・ティーチャー氏が建設。
しかし、建設中に他界してしまいました。そのためウィリアム・ティーチャー&サンズ社の所有となります。
アードモアとはゲール語で「大きな岬」を意味します。蒸留所はハイランドの内陸にあるのですが、アードモアという名前はウィリアム・ティーチャーが住んでいた邸宅の名前から取ったとのこと。
ブレンデッドウイスキーのティーチャーズの原酒確保が目的で建設され、特にティーチャーズ特有のスモーキーフレーバーはアードモアが大きな役割を担っています。
ハイランドの蒸留所の中ではアードモアは生産量が大きく、ワンバッチは麦芽12トン、14基のダグラスファー製の発酵槽と8基の蒸留器を持ち、年間555万リットルを生産する東ハイランド最大の蒸留所です。
また、1999年までサラディンボックス式の自家製麦設備があったこと、2001年まで石炭直火焚き蒸留を行っていました。
使用する麦芽はノンピートとフェノール値12〜14ppmのピーテッドを作っています。
ピーテッドで造られたものは「アードモア」ノンピートは「アードレア」と呼ばれています。
ノンピートのアードレアは他社との原酒交換用として主に造られてきました。
ほとんどがブレンデッド用でシングルモルトでのリリースはほぼなく、一部ボトラーズでシングルモルトが出ていますが、ビームサントリーが買収して以降、オフシャルでシングルモルトもリリースされ始めました。
またビーム社(サントリーと合併する前)がラフロイグのオーナーということもあり、ラフロイグの空き樽で熟成させたものもあり、12〜14ppmという数値以上にピートのフレーバーが強いものがリリースされることもあります。

 

アードモアのラインナップ

アードモア 2009 9年 カバリュス

アードモア 2009 9年 カバリュス

日本の輸入業者&ボトラーズのウイスク・イーがリリースするカバリュスシリーズのアードモア。
カバリュスシリーズは、熟成年数10年前後のモルトをカスクストレングスでリリースしており、特筆すべきはそのアルコール度数が非常に高いこと。
これまでリリースされたものはほぼ60%前後で、こちらのボトルも61.2%。
アードモアのピート感をより高める効果があるようで、非常にパンチの効いた味わいです。

 

アードモア 2011 6年 シンボルオブスコットランド

アードモア 2011 6年 シンボルオブスコットランド

スコッチモルト販売がリリースしているシリーズで、中央にスコットランドに伝わるクオーターナリーという紋章をデザインしています。
こちらはブランデーカスクでフィニッシュされたやや甘めのアードモアです。

 

アードモア 2008 10年 ダンカンテイラーオクタブ

アードモア 2008 10年 ダンカンテイラーオクタブ

ダンカンテイラー社がリリースしているシリーズの一つで、オクタブ樽という非常に小さい樽に移し替えて追加熟成をすることで、樽の風味を強くつけるシリーズです。
年数の割に熟成感を感じ、バランスの良い1本。

 

アードモア 2008 11年 ディスティラリーコレクション

アードモア 2008 11年 ディスティラリーコレクション

スコッチモルト販売のディスティラリーコレクションシリーズ。
こちらはラフロイグ樽で熟成されているボトルで、12〜14ppmとは思えない強いピートを感じ、かつラフロイグのヨード香を強く持っている1本。

 

アードモアの年表

1898年 ウィリアム・ティーチャー氏の息子のアダム・ティーチャー氏がウィリアム・ティーチャー&サンズ社の最初の蒸留所としてアードモア蒸留所を建設開始。アダム・ティーチャー氏は蒸留所の完成前に他界
1955年 蒸留器を2基から4基に増設
1974年 さらに4基の蒸留器を増設。合計8基に
1976年 アライド・ブルワリー社がウィリアム・ティーチャー&サンズ社を買収。それに伴いアードモアも買収。サラディンボックス式の自家製麦工場を閉鎖
1999年 12年熟成を、蒸留所創設100周年記念で発売。21年熟成を限定品として発売
2002年 アードモアがスチームによる間接加熱を採用。石炭による直接加熱をやめ、スチームによる間接加熱を採用した最後の蒸留所となる
2005年 ジムビームブランドがアライド・ドメック社から約20のスピリッツとワインのブランドを50億ドルで買収し、新しいオーナーとなる
2007年 アードモア トラディショナルカスクをリリース
2008年 25年、30年をリリース
2014年 ビーム社とサントリー社が合併。アードモアレガシーをリリース
2015年 トラディショナルを「トラディション」としてリニューアル。さらにトリプルウッドと12年ポートフィニッシュをリリース
2017年 20年、ダブルマチュアードをリリース
2018年 30年をリリース

 

Wataru Kobayashi  小林渉

Vision  Whisky bar 吉祥寺
0422-20-2023
Google Map  武蔵野市吉祥寺本町1-11-8 耶馬ビルB1
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