クライヌリッシュ蒸留所・ブローラ蒸留所 スコッチモルトウイスキー解説評価 / 吉祥寺 Vision

2023/03/22

クライヌリッシュブローラ

クライヌリッシュ蒸留所、ブローラ蒸留所について、徹底解説していきます。

 

  1. クライヌリッシュ・ブローラの地理
  2. クライヌリッシュ蒸留所データと設備
  3. ブローラ蒸留所データと設備
  4. クライヌリッシュ・ブローラの解説
  5. クライヌリッシュのラインナップ
  6. クライヌリッシュ・ブローラの年表

 

1. クライヌリッシュ・ブローラの地理

生産国:スコットランド
地域:ハイランド

 

2. クライヌリッシュ蒸留所データと設備

所有者:ディアジオ社
設立年:1819年(現在の蒸留所は1967年)
年間生産能力:480万リットル
仕込水:クラインミルトン川
糖化槽:ワンバッチ12.5トン
発酵槽:カラ松8基、ステンレス2基
蒸留器:初留3基、再留3基
熟成庫:

 

3. ブローラ蒸留所データと設備

所有者:ディアジオ社
設立年:1967年
年間生産能力:100万リットル
仕込水:クラインミルトン川
糖化槽:
発酵槽:オレゴンパイン4基(海外の資料だと6基)
蒸留器:初留1基、再留1基
熟成庫:

 

4. クライヌリッシュ・ブローラのラインナップ

クライヌリッシュ蒸留所は北ハイランドに位置する蒸留所で、1819年に初代サザーランド公爵により建てられました。
その後何代か所有者を変え、1916年にジョン・ウォーカー&サンズ社が所有、その後はDCL、ディアジオと引き継がれています。
ジョニーウォーカーのハイランドでの主要原酒として非常に重要な役割を果たしており、非常に優れた原酒を生み出しています。
クライヌリッシュ蒸留所は、1967年に最初に建てた蒸留所の隣の敷地に新たにクライヌリッシュ蒸留所という名前の蒸留所を建設、もともとあった蒸留所を閉鎖しましたが、その2年後にブローラという名前で復活。
クライヌリッシュはノンピート麦芽、ブローラはヘビリーピーテッド麦芽を使うという形で2つの蒸留所が並行して生産していました。
しかし、1983年のウイスキー不況によりブローラを閉鎖。
現在はクライヌリッシュのみとなっています。

クライヌリッシュは480万リットルと大きめの生産量の蒸留所ですが、シングルモルトで流通する量は多くなく、ジョニーウォーカーの原酒として殆どが使われます。

オフィシャルボトルの代表は14年熟成で山猫が書かれたラベルが有名。
この山猫はサザーランド公爵家の副紋章でもあり、ハイランドに生息しているスコットランドヤマネコです。
ただ、このスコットランドヤマネコの純血種は絶滅危惧種で残り50匹くらいしかいないという研究があります。
実はヤマネコの絶滅の一番の原因は他の猫との混血とのことで、純血種が維持されるのは難しいそうです。

クライヌリッシュはスコッチウイスキーの中でも唯一無二の味わいをしていると私は思っており、非常にクリーミーでフルーティ、青りんごのような香りと口に含んだあとのバターやクリームのようなどっしりとした風味が、他の蒸留所のモルトではなかなか出会うことができず、大変人気の高いウイスキーです。

なお、ブローラは2017年に再建計画が建てられ、2021年スタートを目指して最終工事中との情報でしたが、2021年5月19日にブローラ蒸留所の原酒が樽詰めされたという情報があり、稼働再開している模様です。
ブローラ蒸留所は、上記の通り1983年に閉鎖された後に2021年に再建。
建物は昔の建物をそっくりそのまま利用したものとなっていますが、蒸留器はアバクロンビー社が以前のものと全く同じ形状、容量のものを2基作成しました。

閉鎖前のブローラ蒸留所はヘビリーピーテッドの麦芽を使用していた時期もあり(70年代後半まで)、クライヌリッシュではノンピート、ブローラではヘビリーピーテッドという作り分けがされると考えられます。

 

5. クライヌリッシュ・ブローラのラインナップ

クライヌリッシュ14年

クライヌリッシュ 14年

一番スタンダードなオフィシャルボトル。
サザーランド公爵の副紋章のヤマネコがラベルデザインに採用されています。
青りんごやクリーム、ややオイリーなフレーバーがあり、他の蒸留所にはない唯一無二の味わいが大変人気のボトルです。

クライヌリッシュソサエティ

SMWS 26.159 Chilled chilli coriander cocktail

冷えたチリコリアンダーカクテルという名前のソサエティのボトル。
唐辛子、コリアンダーなどというフレーバーからジントニックのようなボタニカルフレーバーがあり、フィニッシュにややチーズケーキのような甘さが出てきます。

 

6. クライヌリッシュ・ブローラの年表

1819年 サザーランド公爵が蒸留所を設立
1827年 最初の認可蒸留技師のジェームズ・ハーパー氏が破産申請。ジョン・マセソン氏が引き継ぐ
1846年 ジョージ・ローソン氏一家が新しく蒸留許可を得る
1896年 ジェームス・アインスリー&ハイルブロン社が引き継ぐ
1912年 ジェームス・アインスリー社がわずかに破産を免れ、DCL社とジェームズ・リスク氏が引き継ぐ
1916年 ジョン・ウォーカー&サンズ社がジェームズ・リスク氏の株式を取得
1931年 蒸留所閉鎖
1939年 蒸留再開
1960年 蒸留所が電化される
1967年 クライヌリッシュ蒸留所と名付けられた新しい蒸留所を隣接した敷地に建設
1968年 旧クライヌリッシュ蒸留所を閉鎖
1969年 旧クライヌリッシュ蒸留所をブローラという名前で再オープン。ヘビーピート麦芽を使用したウイスキーを作る
1983年 ブローラ蒸留所閉鎖
2002年 14年熟成をリリース
2006年 ディスティラーズエディション1991オロロソフィニッシュをリリース
2009年 フレンズオブクラシックモルトとして12年熟成をリリース
2010年 1997マネージャーズチョイスシングルカスクをリリース
2014年 クライヌリッシュセレクトリザーブをリリース
2015年 セレクトリザーブセカンドバージョンをリリース
2017年 1年間休業し、再び再開。ブローラ蒸留所再建計画スタート
2019年 ゲーム・オブ・スローンズのシリーズとしてクライヌリッシュ・ハウスタイレルを発売
2020年 26年熟成プリマ&ウルティマを発売
2021年 16年熟成フォーコーナーズオブスコットランド発売、新ブローラ蒸留所蒸留開始。

 

Wataru Kobayashi 小林渉

Vision Whisky Bar ヴィジョン
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