ダルユーイン蒸留所 スコッチモルトウイスキー解説評価 / 吉祥寺 Vision

2023/01/25

ダルユーイン

ダルユーイン蒸留所について、徹底解説していきます。

 

ダルユーイン蒸留所の地理

生産国:スコットランド
地域:スペイサイド

 

ダルユーイン蒸留所データと設備

所有者:ディアジオ社
設立年:1852年
年間生産能力:520万リットル
仕込水:バリームーリック川
ワンバッチ:11.25トン
発酵槽:ダグラスファー8基、ステンレス2基
蒸留器:初留3基、再留3基
熟成庫:

 

ダルユーインの解説

ダルユーイン蒸留所は、1852年に土地の農夫のウィリアム・マッケンジーが創業。
その11年後にストラススペイ鉄道が開通、さらにスペイ川に架かる橋が建設されたことで、製品の輸送が容易になり、また原料となる大麦も労働力もこの鉄道によって運ばれることになります。
ダルユーインはキャロンの駅から引き込み線を敷き、自前の蒸気機関車を走らせたと言われていますが、ストラススペイ鉄道は1967年に廃線となり、線路跡は現在スペイサイドウェイと呼ばれる遊歩道となっています。

ダルユーインはゲール語で「緑の谷間」を意味する言葉で、蒸留所近くにはキャロンの森がそばまで迫っており、文字通り緑の谷間にあります。
蒸留所の建物はスペイ川の支流のキャロン川を跨ぐように建てられています。

1891年にマッケンジー社はタリスカー蒸留所と合併、ダルユーイン・タリスカー蒸留会社を設立、ちょうどその頃第2蒸留所としてインペリアル蒸留所がスペイ川の対岸に建てられました。
その後1925年にDCL傘下に入り、そのまま現在はディアジオ社の所有となっています。

仕込みはワンバッチ11.25トンで、マッシュタンはフルロイタータン、発酵槽はダグラスファーが8基、ステンレスが2基で、珍しいのがこのステンレスの発酵槽は屋外に設置されています。
蒸留器はランタンヘッドとストレートヘッドの両方があり、1960年に大規模改修があり4基から6基に増設されました。
冷却装置は同棲のシェル&チューブですが、数年前までそのうちのいくつかはステンレス製だったそうです。
その理由はモートラックやベンリネスなどと同様にサルファリーなフレーバーを求められたからだそうですが、2015年にすべて銅になっています。
これもちょうどこの頃にクライヌリッシュのサブ蒸留所としてワクシーでスイートな原酒を求められたからだそうです。

上記のように、ダルユーインはディアジオ系列のブレンデッド原酒として作られていた過去があり、1991年にオフィシャルボトルがリリースされるまではシングルモルトの入手は困難な状況でした。
実際にジョニーウォーカーの原酒として使われています。

 

ダルユーインのラインナップ

ダルユーインシングルカスク

ダルユーイン 2008 13年 ザ シングルカスク アルティメットスピリッツ ラムオクタブフィニッシュ

ラム樽フィニッシュという少し珍しいダルユーイン。
フルーティながらどっしりとしたフレーバーがあり、さらにそこにラム樽由来の甘さが重なった、複層的な味わいのボトルです。

 

ダルユーインソサエティ

スコッチモルトウイスキーソサエティ 41.149 Merry cherry sherry

ファーストフィルのオロロソシェリーバットで9年熟成させた後、さらに実際にボデガで使用されていたオロロソバットに移し替えて追加熟成させた、かなりシェリーフレーバーを強く効かせたボトル。
その影響で、スグリやレーズン、ブラックチェリーなどの香り、チェリーの味わいや柑橘系の皮、重厚なオロロソフレーバーが特徴の大変重い味わいのボトルです。

 

ダルユーインの年表

1852年 ウィリアム・マッケンジーが蒸留所を創業
1865年 ウィリアム・マッケンジーが亡くなり、夫人がアベラワーの銀行家のジェームズ・フレミングに蒸留所を貸し出す
1879年 ウィリアム・マッケンジーの息子がマッケンジー社をフレミングとともに創業
1891年 ダルユーイン・グレンリベット社を創業
1898年 ダルユーイン・グレンリベット社がタリスカー社と合併、ダルユーイン・タリスカー社となる
1915年 トーマス・マッケンジーが後継者が無いまま亡くなる
1916年 ダルユーイン・タリスカー社をジョン・デュワー&サンズ社、ジョン・ウォーカー&サンズ社、ジェームズ・ブキャナン社が買収
1917年 火災が発生し、パゴタの屋根が崩れる
1920年 蒸留所再開
1925年 DCLが買収
1960年 改修を実施。蒸留器を4基から6基に、フロアモルティングをやめサラディンボックスに変更
1965年 スチームによる間接加熱を導入
1983年 蒸留所内での製麦を取りやめ、一括購入に切り替え
1991年 最初のオフィシャルボトル、16年熟成を、花と動物シリーズで発売
1996年 1973年蒸留22年熟成カスクストレングスをレアモルトシリーズで発売
1997年 16年のカスクストレングスを発売
2000年 17年シェリーカスクマネージャーズドラムを発売
2010年 1997年シングルカスクを発売
2012年 製造キャパシティを25%増強
2015年 34年熟成をスペシャルリリースで発売

 

Wataru Kobayashi  小林渉

Vision  Whisky bar 吉祥寺
0422-20-2023
東京都武蔵野市吉祥寺本町1-11-8 耶馬ビルB1
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