グレンアラヒー蒸留所 スコッチモルトウイスキー解説評価 / 吉祥寺 Vision

2022/08/02

グレンアラヒ

グレンアラヒー蒸留所について、徹底解説していきます。

 

グレンアラヒーの地理

生産国:スコットランド
地域:スペイサイド

 

グレンアラヒー蒸留所データと蒸留設備

所有者:グレンアラヒーディスティラリーズ社
設立年:1967年
年間生産能力:400万リットル
仕込水:ベンリネス山中の泉
糖化槽:9.4トン
発酵槽:ステンレス6基
蒸留器:初留2基、再留2基
熟成庫:

 

グレンアラヒーの解説

グレンアラヒー蒸留所は1967年創業の蒸留所で、もともとはブレンデッドウイスキーのマッキンレーズの原酒を作る蒸留所としてスコティッシュ&ニューカッスル社が建設しました。
グレンアラヒーはゲール語で「アラヒーの谷」を意味する言葉で、おそらくアラヒーというのもゲール語で「岩だらけ」「石ころの多い」という意味の言葉からの派生だろうと言われています。
蒸留所の設計はデルメ・エヴァンスで、エヴァンスは他にアイル・オブ・ジュラやタリバーディン、マクダフなどの設計もしており、外観もスタイルもよく似ているそうです。
そのスタイルというのは、マッシュタンから発酵槽、ポットスチルのレイアウトに段差をつけ、重力に従った効率的な配置をしていたり、水平クーラーなどのエネルギー効率を高めた作りをしています。

グレンアラヒーは1989年にペルノ・リカールが買収し、クランキャンベルなどの原酒を製造していましたが、2017年に売却することが決定、ベンリアックの元オーナーのビリー・ウォーカー氏が買収しました。

ビリー・ウォーカーはウイスキー業界の重鎮的な人物で、蒸留所の再建プロデューサー的なことをしていました。ベンリアック、グレングラッサ、グレンドロナックのオーナーでしたが、3つの蒸留所をブラウンフォーマン社に売却、その後ウイスキー業界を引退するのではと噂されていましたが、グレンアラヒーを買収し、再び蒸留所経営に戻ってきた形となります。

グレンアラヒーは仕込みはワンバッチ9.4トン、使用する麦芽はノンピートと80ppmのヘビーピートの2種類。マッシュタンはセミロイターで、発酵槽はステンレス6基。蒸留器は初留再留2基ずつとなっています。
樽詰めのアルコール度数が63.5%、68%、72%と3パターンあるのが特徴で、これは想像ですが、63.5%というのがブレンデッド原酒を作っていた時代の名残で、それ以外の2種は68%はヘビーピートの原酒を、72%はノンピートの原酒をそのまま詰めているのではないかと思われます。
また、ビリー・ウォーカーが買収してから、発酵の時間を大幅に伸ばしたという情報があります。これは、ブレンデッド原酒を大量に作る上で発酵時間が短い方が当然短いスパンで作れるので効率が良かったのですが、これからシングルモルトを中心にしていく上で、発酵時間を長く取り、生産効率を下げてでも品質を上げるという方針に切り替わったと思われます。

実際、ビリー・ウォーカー買収以降、積極的にシングルモルトをリリースしていますが、現在リリースされているものの原酒はペルノ・リカール時代のもので、上記のような変更が実際に味に影響が出るのはもう少し先になります。非常に楽しみです。

 

グレンアラヒーのラインナップ

グレンアラヒー12年

グレンアラヒー 12年

今現在リリースされている中で最もスタンダードなグレンアラヒー。
シェリー樽主体の色合いと味で、スイートでスパイシーでややチョコレートのような風味があります。ロックやハイボールもおすすめです。

 

グレンアラヒー 15年

グレンアラヒー 15年

12年の次に熟成年数の長いもの。
さらにシェリー樽由来の風味が強く出ており、濃厚な甘さがしっかり味わえます。

 

グレンアラヒー 10年 カスクストレングス

グレンアラヒー 10年 カスクストレングス

年数は少し若くなりますが、カスクストレングスでボトリングされたもの。
年数の割に濃厚で、アルコールのアタックによるスパイシー感が心地よいボトルです。

グレンアラヒーの年表

1967年 スコティッシュ・アンド・ニューカッスルブルワリーズ社の子会社のマッキンレー・マクファーソン社が蒸留所を創業。蒸留所の設計はウィリアム・デルメ・エヴァンスが実施。
1985年 スコティッシュ・アンド・ニューカッスルブルワリーズ社がチャーリー・マッキンレー社をインバーゴードン蒸留所に売却。同時にグレンアラヒーとアイル・オブ・ジュラもインバーゴードンが取得。
1987年 蒸留所閉鎖
1989年 キャンベルディスティラー(ペルノ・リカール) が蒸留所を買収。蒸留器を2基から4基に増設し、蒸留再開。
2005年 最初のオフィシャルボトルとして1989年蒸留カスクストレングスを発売
2017年 グレンアラヒーディスティラリーエディションを発売。蒸留所がグレンアラヒーコンソーシアムに売却される
2018年 12年、18年、25年のコアレンジに続いて、シングルカスクシリーズを発売
2019年 ウッドフィニッシュレンジとして15年を発売。ビジターセンターを開設
2020年 21年カスクストレングスと、3種のウッドフィニッシュ(ライ、ポート、モスカテル)を発売
2021年 30年カスクストレングス、ワインカスクフィニッシュシリーズを発売

 

Wataru Kobayashi  小林渉

Vision  Whisky bar 吉祥寺
0422-20-2023
Google Map  武蔵野市吉祥寺本町1-11-8 耶馬ビルB1
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