グレングラント蒸留所 スコッチモルトウイスキー解説評価 / 吉祥寺 Vision

2023/01/11

グレングラント

グレングラント蒸留所について、徹底解説していきます。

 

  1. グレングラントの地理
  2. グレングラント蒸留所データと設備
  3. グレングラントの解説
  4. グレングラントのラインナップ
  5. グレングラントの年表

 

グレングラント蒸留所の地理

生産国:スコットランド
地域:スペイサイド

 

グレングラント蒸留所データと設備

所有者:カンパリグループ社
設立年:1840年
年間生産能力:620万リットル
仕込水:グレングラント川
糖化槽:12.3トン
発酵槽:オレゴンパイン10基
蒸留器:初留4基、再留4基
熟成庫:

 

グレングラントの解説

グレングラントは1840年創業の蒸留所。多くの場合モルトウイスキーの蒸留所は地名から取られることが多いのですが、こちらの蒸留所は創業者のジョンとジェームズのグラント兄弟の名前からつけられました。
グラント兄弟は当時は大変な有名人で、スペイサイドでは知らないものがいないと言われていました。
兄のジェームズはエルギンの市会議員も努め、スペイサイドに鉄道を敷いた人物でもあります。
弟のジョンはその間蒸留所を守っていて、兄弟がなくなった後はジェームズの息子のグラントジュニア(通称メージャーグラント)が後を継ぎます。
メージャーグラントは典型的なヴィクトリア期のカントリー・ジェントルマンで釣りやハンティング、世界旅行などを楽しんだ一方、ウイスキーづくりにも革新的な人物でした。
グレングラントは世界で最も早く電化した蒸留所で、またメージャーグラントは独自のストゥーパ型と表現される蒸留器を導入、しかも全ての蒸留器に精留器をつけました。
当時、スペイサイドモルトというジャンルは無く、ハイランドの一部として捉えられており、ハイランドのヘビーでピーティなイメージと思われるのを嫌い、全てに精留器をつけることで軽くエステリーでスッキリしたウイスキーを目指しました。

グレングラントの現在の仕込みはワンバッチ12.3トンと大変大きく、発酵槽はオレゴンパインが10基、発酵時間は48時間となっています。

メージャーグラントがもう一つ作ったのが蒸留所背後に広がる27エーカーのヴィクトリアンガーデンで、仕込み水を引いているグレングラント川の流れに沿った自然庭園で、四季折々の花やりんご、梨、プラムなどの果樹などが植えられています。

メージャーグラントの死後は、1952年んいグレングラントはグレンリベットと合併、さらに1972年にロングモーンもグループに加わったのですが、1978年にカナダのシーグラム社に買収されました。
さらには2001年にペルノ・リカールの所有となり、2006年にはイタリアのカンパリ社が1億1500アンポンドで買収。
これはグレングラントがイタリアでNo1の人気を誇っており、ある意味落ち着くところに落ち着いたとも言えます。

現在、蒸留所の責任者はデニス・マルコム氏で、父がグレングラントの職人だっったため、生まれたのもグラントの職人住宅で、15歳で自らもグラントの職人となりました。
グレングラント蒸留所一筋に50年職人として生きた人物でした。カンパリ社が買収した際に当時ペルノ・リカール所属だったデニス氏を呼び戻したそうです。

グレングラントには第2蒸留所があり、第2蒸留所の建設当初はグレングラントNo2と呼ばれていましたが、閉鎖、後に復活した際はキャパドニックという名前で蒸留再開しました。
しかしながら現在はキャパドニックも閉鎖し、蒸留所は取り壊され、蒸留器メーカーのフォーサイス社の巨大な工場の一部となっています。

ちなみに、仕込み水に使用しているグレングラント川の語源ですが、グレングラントという蒸留所名がグラント兄弟からつけられているため、川の名前と一致しているということは蒸留所名から川の名前がつけられたと考えられるのですが、川の語源に関する記述は発見できませんでした。
通常は川の名前のほうが先にあると思うので、これに関しては不思議です。

 

グレングラントのラインナップ

グレングラントソサエテイ983

スコッチモルトウイスキーソサエティ 9.83
Tiger Balm, Limoncello and scented candle

ソサエティの旧ラベルのグレングラント。
タイガーバームという大変馴染み深い表記のため、その香りを探すお客様が多数います。
シェリー樽で25年熟成ながらアルコール度数が56.5%と高く、その揮発するフレーバーがタイガーバームを彷彿とさせ、さらにグレングラント特有のシャープな味わいと相まって非常にスッキリと飲める1本となっています。

 

ソサエティグレングラント

スコッチモルトウイスキーソサエティ 9.114
Manzana Verde Daiquiri

こちらもソサエティの旧ラベル。
バーボン樽熟成で、スッキリとした白ワインのようなジューシーで柑橘フレーバーが特徴。
余韻も長く舌の上で弾けるフレーバーが大変心地いいボトルです。

 

グレングラントの年表

1840年 ダンデライス蒸留所のマネージャーだったジェームズとジョン・グラントの兄弟が蒸留所を創業
1861年 電気を導入した最初の蒸留所となる
1864年 ジョン・グランドが亡くなる
1872年 ジェームズ・グラントが亡くなり、息子のジェームズ・ジュニアが引き継ぐ(息子のジェームズが一般的にメジャーなジェームズと言われる)
1897年 ジェームズ・グラントが道路を挟んで反対に別の蒸留所を建設することを決める。名前はグレングラントNo2
1902年 グレングラントNo2を閉鎖
1931年 ジェームズ・グラントが亡くなり、孫のダグラス・マッケイサックが後を継ぐ
1953年 J.&J.グラント社がグレンリベット蒸留所を運営するジョージ&J.G.スミス社と合併。グレンリベット&グレングラント社となる
1961年 アルマンド・ジョヴィネッティとダグラス・マッケイサックは、グレングラントがイタリアで最も売れたモルトウイスキーとなる切っ掛けとなる交友関係を築く
1965年 グレングラントNo2がキャパドニックという名前で再稼働
1972年 グレンリベット&グレングラント社がヒル・トンプソン社、ロングモーン・グレンリベット社と合併。グレンリベット社となる
1973年 蒸留器を4基から6基に増設
1977年 シーバス&グレンリベットグループ(シーグラム社)がグレングラント蒸留所を買収。蒸留器を6基から10基に増設
2001年 ペルノ・リカールとディアジオがシーグラム・スピリッツ&ワイン社を買収。ペルノ・リカールがシーバスグループを取得
2006年 カンパリ社がグレングラントを1億1500万ポンドで買収
2007年 全商品をデザイン変更し再発売。15年シングルカスクを発売。ビジターセンターを改築
2008年 16年カスクストレングス、27年カスクストレングスの2つの限定商品を発売
2009年 セラーリリース1992を発売
2010年 170周年アニバーサリーボトルを発売
2011年 25年熟成を発売
2012年 19年ディスティラリーエディションを発売
2013年 ファイブディケイドを発売。ボトリング施設を建設
2014年 50年熟成、ローゼズエディション10年を発売
2015年 グレングラントフィオディを発売
2016年 12年、18年を発売、12年ノンチルフィルタードを空港限定発売
2018年 15年を免税店向けに発売
2020年 ノンエイジのアルボラリスを発売
2021年 60年熟成デニス・マルコムアニバーサリーを発売
2022年 21年をコアレンジに追加

 

Wataru Kobayashi  小林渉

Vision  Whisky bar 吉祥寺
0422-20-2023
Google Map  武蔵野市吉祥寺本町1-11-8 耶馬ビルB1
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