2026/06/30
ウイスキーにおける「長熟」という言葉に少し疑問符を投げかけてみましょう。
もちろん熟成年数は大切ですが、それだけで名酒が生まれるわけではありません。
樽との付き合い方、原酒の設計、そして蒸留所が目指す味わい。その積み重ねがあって初めて、「長い時間」が価値を持ちます。
その好例と言えるのが、グレンモーレンジィ18年です。
グレンモーレンジィ 18年 Glenmorangie 18y
グレンモーレンジィ蒸留所は、スコットランド・ハイランド地方のテインに位置し、1843年創業。
首の長いポットスチルを使用することで知られ、軽やかでエレガントな酒質を生み出しています。
その繊細なニューメイクは、長い熟成にも耐えうる骨格を持ちながら、華やかな果実香を失わないことが大きな魅力です。
18年は、その個性を最も美しく表現した一本ではないでしょうか。
熟成はまずアメリカンオーク樽で15年間。
その後、一部の原酒をオロロソシェリー樽へ移し替えて3年間追加熟成させます。
一方、残りの原酒はそのままアメリカンオーク樽で18年間熟成され、最後に両者をヴァッティングするという構成。
シェリー樽由来の濃厚さを前面に押し出すのではなく、あくまでグレンモーレンジィらしい繊細さを軸に、複雑さを積み重ねるための使い方。
この絶妙なバランス感覚は、長年培われてきた蒸留所の哲学を感じさせます。
グラスに注ぐと、まず立ち上るのは蜂蜜や熟した桃、アプリコット、オレンジマーマレードを思わせる甘く華やかな香り。
そこへレーズンやイチジクのようなドライフルーツ、穏やかに重なるナッツ香。
口に含めばシルクのようなテクスチャー。
バニラやキャラメルの柔らかな甘みを軸に、柑橘や熟した果実が広がり、シェリー樽由来のスパイスやドライフルーツが奥行きを与えます。
フィニッシュにはオークの心地よいウッディさと甘いスパイス、ほんのりとビターなチョコレートを思わせる風味がゆっくりと続き、最後までバランスを崩しません。
飲み終えて強く印象に残るのは、「18年」という数字ではなく、その完成度。
グレンモーレンジィ18年には、決して声高に自己主張はしないものの、何度グラスを傾けても飽きさせない懐の深さがあります。
派手さを競うのではなく、美しく整える。
そんな蒸留所の美学が、この一本には詰まっています。
Whisky Burgers Bar
中野/東京都中野区中野2-30-8 立川ビルB1
03-5340-5808
Facebook
Instagram
2026年6月26日
WHISKY BAR Whisky Burgers Scotch whisky
グレンモーレンジィ蒸溜所 ハリソンフォードと名のついたウイスキー / 中野 Whisky Burgers
2026年6月23日
WHISKY BAR Whisky Burgers Scotch whisky
グレンオード蒸留所 16年 A.D.ラトレー カスクコレクション ボトラーズウイスキーを楽しむ / 中野 Whisky Burgers
2026年6月9日
WHISKY BAR Whisky Burgers Scotch whisky
コンパスボックス クリムゾンカスク 真紅に染まるブレンデッドモルトの美学 / 中野 Whisky Burgers