グレンロセス蒸留所 スコッチモルトウイスキー解説評価 / 吉祥寺 Vision
2023/05/24
グレンロセス蒸留所について、徹底解説していきます。
1. グレンロセスの地理
生産国：スコットランド
地域：スペイサイド
2. グレンロセス蒸留所データと設備
所有者：エドリントングループ社
設立年：1878年
年間生産能力：560万リットル
仕込水：アードカニー、フェアリーズウェル
ワンバッチ：5.5トン
発酵槽：オレゴンパイン12基、ステンレス8基
蒸留器：初留5基、再留5基
熟成庫：
3. グレンロセス解説
グレンロセスはスペイサイドのローゼスの街の中心地にある蒸留所です。ローゼス川の谷にあることからグレンロセスと名付けられました。
1878年に創業しましたが、この年に資金援助を受けていたグラスゴーの銀行が倒産、そのため計画を大幅に縮小して建設せざるをえなかったそうです。
グレンロセスは黒人の幽霊が出たことで知られています。1980年代に蒸留器を6基から10基に増設した際に出てくるようになったそうです。その霊の名前はバイウェイで、グレングラント蒸留所の2代目蒸留所長の執事を務めた男で、1900年代に南アフリカの道端で孤児だったバイウェイを連れてきたそうで、60年近くローゼスで暮らし、墓も町の共同墓地の中に作られました。
拡張工事によってバイウェイのスピリチュアルロード、霊の散歩道が邪魔されたからと言われ、霊媒師を呼んで道を変えてもらったことで、霊が出ない様になったとのこと。
グレンロセスはブレンデッドのカティーサークの主要原酒で、生産量の95％がブレンド用、シングルモルトは5％しか無いといわれていました。また、ブレンダーの中では「スペイサイドのトップドレッシング」と呼ばれ、主要なほとんどのブレンデッドウイスキーには必ずブレンドされていると言われていました。
また、シングルモルトのブランドはロンドンのワイン商のBBR社が持っていましたが、2017年に現オーナーのエドリントン社に戻っています。BBR時代はワインに近い考え方でヴィンテージを記載、年数表記無しでのリリースでしたが、エドリントンに戻ってからは年数表記ありに切り替わりました。
4. グレンロセスのラインナップ
グレンロセス 1998
BBR時代にリリースされたグレンロセスで、ヴィンテージが記載されているもの。
蒸留年、ボトリング年が記載されており、ボトリングが2009年のため、10年熟成（計算すると11年のように見えますが日付的に11年には達していないため）です。
熟成に使用している樽は表記されていませんが、心地よいバニラやパイナップルのような香りがバーボン樽熟成を思わせ、スムーズでフルーティーなフレーバーをゆっくりストレートで長く感じられます。
5. グレンロセスの年表
1878年 ジェームズ・スチュワート社がロバート・ディック、ウィリアム・グラント、ジョン・クルックスハンクと新しい蒸留所のプランを始める
1879年 12月に蒸留開始
1884年 蒸留所名をグレンロセス-グレンリベットに変更
1887年 ウィリアム・グラント社がアイラディスティラリー社と手を組み、ハイランドディスティラー社となる
1897年 火災発生
1903年 爆発で多大な損害が発生
1963年 蒸留器を4基から6基に増設
1980年 蒸留器を6基から8基に増設
1989年 蒸留器を8基から10基に増設
1999年 エドリントンとウィリアム・グラント社がハイランドディスティラー社を買収
2002年 1966、1967ヴィンテージの4つのシングルカスクを発売
2005年 30年熟成を発売、同時にセレクトリザーブ、1985ヴィンテージを発売
2008年 1978ヴィンテージ、ローブルリザーブを発売
2009年 グレンロセス・ジョン・ラムゼイ、アルバリザーブ、スリーデカードを発売
2010年 ベリーブラザーズがブランドを買収
2011年 エディターズカスクを発売
2013年 2001ヴィンテージ、Manse Braeレンジを発売
2014年 シェリーカスクリザーブ、1969エクストラオーディナリーカスクを発売
2015年 グレンロセス・ヴィンテージシングルモルトを発売
2016年 ピーテッドカスク、アンセスターリザーブを発売
2017年 エドリントンにブランドが戻り、グレンロセスワインマーチャントコレクションを発売
2018年 全体のラインナップを刷新し、熟成年数の記載がある4つの新ボトルを発売
2019年 40年熟成、50年熟成を発売
2020年 13年ハロウィンエディションを発売
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