グレントファース蒸留所 スコッチモルトウイスキー解説評価 / 吉祥寺 Vision

2022/04/05

グレントファース

グレントファース蒸留所について、徹底解説していきます。

 

  1. グレントファースの地理
  2. グレントファース蒸留所データと蒸留設備
  3. グレントファースの解説
  4. グレントファースの主なラインナップ
  5. グレントファースの年表

 

1. グレントファースの地理

生産国:スコットランド
地域:スペイサイド

 

2. グレントファース蒸留所データと蒸留設備

所有者:ペルノ・リカール社
設立年:1898年
年間生産能力:420万リットル
仕込水:ロザリー川とマルベンの泉
糖化槽:ワンバッチ12.2トン
発酵槽:オレゴンパイン6基
蒸留器:初留3基、再留3基
熟成庫:

 

3. グレントファースの解説

グレントファース蒸留所はスペイサイドのキースから8キロほどの位置にあるマルベンと呼ばれる土地にある蒸留所です。
近くにトファーズウッドと呼ばれる森があることから、命名されたと思われます。
1898年創業で、創業者はジェームズ・ブキャナン氏のブキャナンズ社で、ブキャナンズ社は当時デュワーズ、ジョニーウォーカーと並んでビッグ・スリーと言われるウイスキー業者でした。
代表銘柄はブラック&ホワイトで、これはもともとブキャナンズブレンドという名前の白地に黒の文字で書かれたラベルデザインのものを消費者がブラック&ホワイトと呼んでいたことから、商品名の方を変更、さらにラベルに黒いスコティッシュ・テリアと白いウエストハイランド・ホワイトテリアの2匹の犬をデザインしたことで有名となりました。
ジェームズ・ブキャナン氏とデュワーズ社のジョン・デュワー氏はライバル関係にあったそうですが、ウイスキー会社の統廃合によりライバル同士が合併。
さらには巨大ブレンデッドウイスキー業者のDCLの一員となりながらもウイスキー産業の中心に居続けました。
また1965年に蒸留所を改築、増設を行い生産量を強化したのですが、1985年にウイスキー不況の影響で閉鎖。
その後アライドディスティラリー社が買収、さらに2005年にペルノ・リカールが買収し、現在はペルノ・リカール社の元で生産が続けられています。

グレントファースはワンバッチ12.2トンと巨大な蒸留所。発酵槽はオレゴンパインが6基で、これらの機材はすべて昔ながらの手作業で行われています。
そのため、ペルノ・リカールの製造スタッフの研修センターとしても使われています。

シングルモルトでのリリースはほとんど無く、以前はゴードン&マフファイル社からのリリースがメジャーアイテムのように扱われていましたが、2017年にバランタインの主要原酒をシングルモルトでリリースすると言う形で15年熟成が発売になり、こちらがオフィシャルボトルとして認識されています。

その生い立ちから、グレントファースはもともとブラック&ホワイトの主要原酒として使われ、その後DCLからリリースされていた様々なブレンデッドの主要原酒となっていました。
その中でも有名なのが、ザ・ロイヤルハウスホールドの主要原酒として使用されていたことで、これはブキャナン氏が王室のための特別ブレンドを作って欲しいと依頼されたときに作ったものでした。
もちろんロイヤルワラント(英国王室御用達)です。ちなみに、古いロイヤルハウスホールドのラベルにはグレントファースの名前が記載されています。
それが、蒸留所の閉鎖売却により、ロイヤルハウスホールドの主要原酒がダルウィニーに変更になりましたが、ペルノ・リカール買収後はバランタインの重要な原酒の一つとして位置づけられ、その非常に素晴らしい味わいが長く高く評価されていることの現れとなっています。

 

4. グレントファースのラインナップ

グレントファース 2009 クーパーズチョイス ポートカスクフィニッシュ

グレントファース 2009 クーパーズチョイス ポートカスクフィニッシュ

ヴィンテージモルト社がリリースするクーパーズチョイスシリーズ。
最近はポートやシェリーの樽でのフィニッシュのリリースが多い印象です。
こちらのボトルもポートフィニッシュで、バニラやオークなどの複雑な香りと、心地よいスパイスのフィニッシュが特徴となっています。

 

スコッチモルトウイスキーソサエティ 63.65

スコッチモルトウイスキーソサエティ 63.65 Popping candy in the woods

森の中のポッピングキャンディという名前のボトル。
洋梨やコリアンダー、白胡椒のようなフルーティとスパイシーが混ざりあった飲みごたえのあるボトルです。

 

5. グレントファースの年表

1897年 ジェームズ・ブキャナンとグラスゴーのウイスキー商のW.P.ローリーが蒸留所を創業
1898年 製造開始
1906年 ジェームズ・ブキャナン社が蒸留所全体を買収し、W.P.ローリーの80%の株式を取得
1915年 ジェームズ・ブキャナン社がデュワーズと合併
1923年 糖化棟と製麦施設を改築
1925年 ブキャナン・デュワーズ社がDCLに加わる
1930年 グレントファースがスコッチモルトディスティラー社に移管
1965年 蒸留器を2基から6基に増設
1969年 フロアモルティングを停止
1985年 DCLが蒸留所を閉鎖
1989年 ユナイテッドディスティラリー社(DCL)がアライドディスティラリー社の子会社のカレドニアンモルトウイスキーディスティラリー社に蒸留所を売却
1992年 8月より蒸留再開
2000年 15年熟成を発売
2005年 アライドドメックが買収され、シーバスブラザーズ社(ペルノ・リカール)が新しいオーナーとなる
2017年 バランタインシングルモルトシリーズとして15年熟成を発売
2021年 23年熟成を発売

 

Wataru Kobayashi  小林渉

Vision  Whisky bar 吉祥寺
0422-20-2023
東京都武蔵野市吉祥寺本町1-11-8 耶馬ビルB1
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