ロイヤルブラックラ蒸留所 スコッチモルトウイスキー解説評価 / 吉祥寺 Vision

2022/05/10

ブラックラ

ロイヤルブラックラ蒸留所について、徹底解説していきます。

 

ロイヤルブラックラの地理

生産国:スコットランド
地域:ハイランド

 

ロイヤルブラックラ蒸留所データと蒸留設備

所有者:バカルディ社
設立年:1812年
年間生産能力:410万リットル
仕込水:コーサックの泉、コーダー川
糖化槽:ワンバッチ12.6トン
発酵槽:カラ松6基、ステンレス2基
蒸留器:初留2基、再留2基。
熟成庫:ダンネージ式の熟成庫があるが、ディアジオに熟成庫をリースしている。

 

ロイヤルブラックラの解説

ロイヤルブラックラ蒸留所は1812年創業の蒸留所で、創業者は地元のネアン出身のキャプテン・ウィリアム・フレイザーです。
もともとはインド駐在の武官だったそうですが、退役と同時に故郷に帰り、蒸留所を創業しました。その当時はブラックラ蒸留所という名前でした。
蒸留所があるネアンは北海に面したリゾート地で、蒸留所のすぐ近くにはシェイクスピアのマクベスで有名なコーダー城があります。
この城には今でもコーダー伯爵家の子孫が住んでいます。そのコーダー伯爵家の領地の一角をリースして蒸留所を建設しました。
その後1835年に国王ウィリアム4世から王室御用達の勅許状を受け取り、ロイヤルをつけた現在の名前となっています。
ウィリアム4世は、植民地戦争に明け暮れ、航海王と称されるほど帝国内の領地を転々としていましたが、たまたまネアン近くの国境守備隊を訪問した際に、王のもとに届けられたのがブラックラ蒸留所のウイスキーで、そこから王室御用達になったとのこと。

ロイヤルブラックラは、デュワーズの主要原酒であり、年間生産能力は410万リットルと大きめの蒸留所です。
仕込みの量もワンバッチ12.6トンと巨大で、マッシュタンはステンレスのフルロイタータン、発酵層は6万リットル入るカラマツ製のものが6基ありますが足りないようで、半屋外のような形でステンレスの発酵槽が2基増設されています。
発酵はケリー社のリキッドイーストを使用しており、発酵時間は72時間から最長120時間とかなり長めに取っており、そのため発酵槽が足りないという状況になっているのではと思われます。
蒸留器はストレートヘッドでラインアームはやや上向き。
樽詰めは蒸留所では行わず、グラスゴーの集中熟成庫に運び、そこで樽詰め、貯蔵を行います。
熟成庫には古い石造りのダンネージ式の熟成庫がありますが、ディアジオにリースしているそうです。

ロイヤルブラックラのオフィシャルはシェリーカスクフィニッシュとなっており、そのシェリーカスクの中にはペドロヒメネスカスクも含まれているため、どっしりとした甘さがあるのが特徴となっています。
ボトラーズからはバーボン樽熟成が多く出ている印象で、オフィシャルとボトラーズで味の違いを楽しめる蒸留所です。

 

ロイヤルブラックラのラインナップ

ブラックラ5561

スコッチモルトウイスキーソサエティ 55.61 The ambassador of lavender

ラベンダーのアンバサダーという題名のソサエティのボトル。
乾燥したラベンダーやオレンジの花、ジャスミンなどの香りと、焼きバナナやアップルのような甘いフレーバーが特徴。

ブラックラ5562

スコッチモルトウイスキーソサエティ 55.62 Oddfellows in the wardrobe

衣装部屋の中のオッドフェローズという題名のソサエティボトル。
オフィシャルの香りの特徴に屋根裏部屋や昔ながらの織り機などのコメントが有り、やや古さのある渋みのある香りがそれに当たるのかと思います。
味わいは胡椒やタルカン、はちみつ、樽由来のスパイシー感などがあり、変化に富んだ1本です。

ロイヤルブラックラの年表

1812年 ウイリアム・フレイザー氏により蒸留所を創業
1833年 ブラックラ蒸留所が3つのうち最初の”ロイヤル”を名乗ることを許された蒸留所となる
1852年 ロバート・フレイザー社が蒸留所を引き継ぐ
1897年 蒸留所の建て直しを行い、ロイヤルブラックラディスティラリー社を創設
1919年 アバディーンのジョン・ミッチェルとジェームズ・リクトが蒸留所を購入
1926年 ジョン・ビセット社が蒸留所を買収
1943年 SMDがジョン・ビセット社を買収し、それによりロイヤルブラックラ蒸留所もSMDの傘下に入る
1964〜1966年 大規模改修で蒸留器を4基に増設するため蒸留所を閉鎖。フロアモルティングを閉鎖
1970年 蒸留器が2基から4基に増設。
1985年 蒸留所閉鎖
1991年 生産再開
1993年 10年熟成を花と動物シリーズで発売
1997年 200万ポンド以上をつぎ込み、蒸留所の改修を実施
1998年 バカルディ-マルティニ社がディアジオからデュワーズブランドを購入
2004年 10年熟成を発売
2014年 35年熟成をシンガポールのチャンギ空港向けに発売
2015年 新商品として、12年、16年、21年を発売
2019年 12年、18年、20年を免税店向けに発売
2021年 18年パロ・コルタドフィニッシュ、20年シェリーフィニッシュ(3種のシェリー樽を使用)がコアレンジになる

 

Wataru Kobayashi  小林渉

Vision  Whisky bar 吉祥寺
0422-20-2023
Google Map  武蔵野市吉祥寺本町1-11-8 耶馬ビルB1
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