ブナハーブン蒸留所 スコッチモルトウイスキー解説評価 / 吉祥寺 Vision

2021/11/15

ブナハブン

ブナハーブン蒸留所について、徹底解説していきます。

 

ブナハーブンの地理

生産国:スコットランド
地域:アイラ島

 

ブナハーブン蒸留所データと蒸留設備

所有者:ディスティル社
設立年:1881年
年間生産能力:270万リットル
仕込水:マーガデイル川
糖化槽:ワンバッチ12.5トン
発酵槽:オレゴンパイン 6基
蒸留器:初留 2基、再留 4基。らっきょうのような形のストレートヘッド型。
熟成庫:シングルモルト用以外は南ハイランドのディーンストンの熟成庫で熟成
他:

 

ブナハーブンの解説

ブナハーブン蒸留所データと蒸留設備
ブナハーブン蒸留所の名前の由来は「河口」で、これは仕込み水を引くマーガデイル川の河口に位置していることに由来します。
創業は1881年で、実際に蒸留開始したのは1883年。当時はピートが入っていたそうですが、第二次世界大戦後にノンピートにすることを決めたそうです。
これは当時ブナハーブンはカティサークの主要原酒であり、カティサーク用に軽い酒質が求められたとのことです。

1997年頃から試験的にピーテッドを製造、2004年にピーテッドを初リリースさせます。10年くらい前までは、ピーテッドの割合は1割程度と言われていましたが、現在は4割程度までピーテッドの比率が増加しているそうで、現在のピートの人気を反映させています。
ピートを焚いた麦芽は、カリラやラガヴーリンと同じく、34〜38ppmの麦芽をポートエレンより購入しています。つまり、3つの蒸留所が同じ麦芽を使用して製造しているということになります。比較すると蒸留所の特徴がわかってくるのではないでしょうか。

仕込みはワンバッチ12.5トンと巨大で、これはアイラ島最大の蒸留設備を持つカリラと同じ量となっています。それをオレゴンパイン製の6基の発酵槽で55〜110時間発酵させ、らっきょうのような形のストレートヘッド型ポットスチルで蒸留します。蒸留器に還流する部分が少ないことから非常に濃厚なフレーバーの原酒が造られます。仕込み量はカリラと同じなのですが、年間生産能力は半分以下で、これは発酵や蒸留に時間をかけていること、蒸留器の数がカリラと比較すると少なく、生産効率が落ちるということだと思われます。
熟成庫はもともとは蒸留所併設で巨大なものがあったのですが、現在はシングルモルトとしてリリースする分は蒸留所内で、ブレンデッド用は系列のディーンストン蒸留所の熟成庫で集中熟成させています。もともとあった巨大な熟成庫はビジターセンターのための工事がされているとのことです。

 

ブナハーブン蒸留所データと蒸留設備

ブナハブン12年

ブナハーブン 12年 オフィシャル
ノンピートの一番スタンダードなブナハーブン。シェリー樽比率が高く、甘く濃厚なフレーバーが特徴ですが、ほんの少しアイラの塩っぽさもあり、アイラ入門に最適なボトルです。

 

ブナハーブン 2004 12年 モルトマン

ブナハーブン 2004 12年 モルトマン

ボトラーズのモルトマンからリリースされているバーボン樽熟成のブナハーブン。
ノンピートでカスクストレングスのため、ブナハーブン蒸留所の特徴を他の蒸留所と比較するときにわかりやすいボトルです。

 

ブナハブンソサエティ

SMWS 10.201
SMWS 10.213

ここ最近、スコッチモルトウイスキーソサエティからブナハーブンのヘビーピートで特に美味しいものが多くリリースされています。
こちらの2本もかなりおすすめ度が高いのですが、特に10.213はオクトモアに引けを取らないくらいのとても強いスモーキーフレーバーを感じるボトルです。
34〜38ppmの麦芽でどうやってここまで強くスモーキーになるのかをじっくり考えたくなるボトルです。

 

ブナハーブンの年表

1881年 ロバートソン&バクスター社のウィリアム・ロバートソンと、グリーンリース社のウィリアム&ジェームス・グリーンリース兄弟によりアイラディスティラーズカンパニー社をオーナーとして創業
1883年 1月より蒸留開始
1887年 アイラディスティラーズカンパニー社とウィラムグラント社が合併し、ハイランドディスティラーズカンパニーが設立
1963年 2基の蒸留器が追加される
1982年 蒸留所休止
1984年 蒸留所再稼働。蒸留所100周年を記念して、21年熟成が発売される
1999年 エドリントン社がハイランドディスティラーズカンパニーを買収、ブナハーブン蒸留所の閉鎖を決定。しかし、年に数週間のみ生産を許可される
2001年 1965年蒸留35年熟成をアイラフェス用にリリース
2002年 1965年蒸留35年熟成をアイラフェス用にリリース。1968年ジョル有をアイラジャズフェスティバル用にリリース
2003年 エドリントン社がブナハーブン蒸留とブラックボトルブランドをバーンスチュワート社に1000万ポンドで売却。1963年蒸留40年熟成発売
2004年 初のピーテッドモルトの6年熟成を「モンニャ」という名前で発売
2005年 34年熟成、18年熟成、25年熟成の3種類のリミテッドエディションを発売
2006年 ペドロヒメネスカスク14年と、35年熟成を発売
2008年 ダラックURを空港免税店向けに発売。トチェック(10年熟成のピーテッド)をいくつかの限定された市場に発売
2009年 モンニャカスクストレングス発売
2010年 ピーテッドクラックモナと、30年熟成を発売
2013年 40年熟成を発売
2014年 エリーナグレーネとキャビノックを発売
2017年 モンニャオロロソ、ステュウラーダー、アンクラダック発売
2018年 トチェックアガー、20年パロコロタド樽熟成発売

 

Wataru Kobayashi  小林渉

Vision  Whisky bar 吉祥寺
0422-20-2023
Google Map  武蔵野市吉祥寺本町1-11-8 耶馬ビルB1
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