スコッチモルトウイスキー解説評価 ブルックラディ蒸留所 / 吉祥寺 Vision

ブルックラディ

スコッチモルトウイスキー、ブルックラディ蒸留所について、徹底解説していきます。

 

ブルックラディの地理

生産国:スコットランド
地域:アイラ、インダール湾を挟んでボウモア町の対岸辺り

 

ブルックラディ蒸留所のデータと留設備

所有者:レミーコアントロー社
設立年:1881年
年間生産能力:150万リットル
仕込水:丘の上の貯水池
糖化槽 ブナハーブンの中古の鋳鉄製。ワンバッチ7トンで、得られる麦汁は3万5000リットル
発酵槽:オレゴンパイン 6基、マウリ社のドライイースト使用、発酵時間は60〜100時間
蒸留器:初留 2基、再留 2基。首の長いストレートヘッド型。ミドルカットは76〜64%。他ジン用の改造型ローモンドスチルあり(愛称アグリーベティ)
熟成庫:インダール湾に面してすべてアイラ島内で熟成
他:瓶詰め設備あり

 

ブルックラディ徹底解説

ブルックラディ蒸留所は、アイラ島のインダール湾を挟んでボウモア町の対岸にある蒸留所です。
1881年操業で、もともとハーヴェイ社が所有していましたが、何回もオーナーが変わり最終的には1995年に蒸留所閉鎖に追い込まれます。
このときの理由はウイスキー不況により生産を抑えたいという意向と、当時オーナーだったホワイト&マッカイ社が近くにアイルオブジュラ蒸留所を所有しており、土地の近い同じような原酒は2種類も不要という判断だったと言われます。
また、これはとある書籍にかかれていた一説ですが、インバーゴードンをホワイト&マッカイが買収する時点でブルックラディを閉鎖することが決定しており、蒸留所再編の一環だったとも言われます。

そんな扱いのひどいブルックラディですが、ロンドンでワインビジネスを手掛けていたマークレイニエ氏が、閉鎖するくらいなら買収させてくれというオファーを数年間に渡って送っていました。
しかしホワイト&マッカイはブルックラディが再開されてしまうと自社の商品シェアが下がることを恐れ、買収させなかったそうです。それが、ブルックラディの所有権がホワイト&マッカイからJBB社に行こうしたことにより、2000年に買収が成功。
マーク・レイニエ氏は、「アイラの伝説の男」と呼ばれている、元ボウモアのブランドアンバサダーで幼いころからウイスキーづくりに携わっていたというジム・マッキューワン氏を蒸留責任者に招聘。
2001年5月に復活を遂げることができました。

ジム・マッキューワン氏は、再建に向けてブルックラディ蒸留所で過去に働いていたスタッフや、アイラ島の蒸留技師に招集をかけ、数年間放置されて使用が不可能と思われていた蒸留設備を総出をあげて自力で修復。
これは、アイラ島が島という物流が遅い場所にあることから、アイラ島では古い機材を自力で直して使う習慣があったことから実現ました。
その年、創業当初のそのままの設備を修復したため、最新の設備に置き換えるなどということはなく、今でも古い機材を使い続けています。
ブルックラディ蒸留所は1881年創業当初はアイラ島で最も新しい蒸留所で、その次に創業する蒸留所は2005年のキルホーマンまで待たなければいけないのですが、1881年当時の最新の設備は現在では当時の遺産の伝統的な設備となっています。

また、ジムさんは、「アイラ島でしか出せない独自の味」を追求、ワイン用語で「テロワール」と言われるものを提唱。
これはマーク・レイニエ氏がワイン商だったことも影響しています。
スコッチウイスキーは、麦芽はスコットランド産はあまり多くなく、主に海外から輸入していました。
それに対して、スコットランド産にこだわりを持とうということ、アイラ島産の麦芽を使おうというプロジェクトが発足します。
しかしアイラ島はその気候から大麦の生産に向いておらず、地元の農家と積極的に交渉することで協力を得て生産を開始。
現在は仕込みの50%をアイラ島産でまかなえるようになってきました。

2012年にフランスのレミーコアントロー社が蒸留所を買収しますが、これはレミーコアントロー社の充実した販売体制を生かして世界流通させるための戦略で、レミーコアントロー社はマーク・レイニエ氏、ジム・マッキューワン氏の立てた方針をそのまま引き継ぎ、運営方針を変えずに生産を継続。
その後、結局買収されたことにより自由が少し減ったことに不満を持ったとか持たないとかでマーク・レイニエ氏はブルックラディを去り、現在はアイルランドで新規の蒸留所をスタートさせています。
また、ジム・マキューワン氏も、後任の若手スタッフに蒸留技術を伝授した後に引退。その後、アードナホー蒸留所の蒸留責任者になりました。

ブルックラディは、ノンピートのクラシックラディ、40ppmのポートシャーロット、80ppm以上のオクトモアの3種類を製造しています。
ブルックラディ蒸留所は現在外部のモルトスター(製麦業者)に麦芽の製造を委託しているのですが、実はポートシャーロットは40ppmの麦芽を造る際に80ppmの麦芽をまず作り、そこにノンピートを等量混ぜて作っているということが判明。
それならば80ppmのまま作ってみようという試みがスタートし、その後はできる限り徹底的にフェノール値を高めてみるという製造スタイルになったとのことです。
また、発酵時間が60時間〜100時間と非常に長く、生産効率が悪いのですが、いたずらに生産効率をあげて品質を落とさない、品質重視の製造となっています。
また、アイラ島産100%を実現するには、上記のモルトスターに委託している製麦をアイラ島内で行わなければいけないのですが、2023年頃の完成を目指して、サラディンボックス式の製麦設備を建設中だそうです。

 

ブルックラディの主なラインナップ

ブルックラディ ザ・クラシックラディ

ブルックラディ ザ・クラシックラディ

ブルックラディ蒸留所の最もスタンダードなウイスキー。
ノンピートで、アイラの潮風を浴びて熟成されたほんのりと塩っぽさとクリーミーさが大変素晴らしく、ここ最近特に評判をあげているボトルです。
発酵時間が長いことと関係性があるのか、私的にはちょっと乳酸菌感を感じるフレーバーが好きです。

 

ポートシャーロット 10年

ポートシャーロット 10年

これまではポートシャーロットは蒸留年が記載され、熟成年数が記載されないものがリリースされていましたが、原酒が潤沢に確保できるようになったためか、2年くらい前より10年と熟成年数を書いたボトルをリリースし始めています。
強すぎず、でもアイラ好きを満足させるしっかりしたピートが、大変素晴らしいボトルです。
ハイボールでもストレートでもオススメです。

 

オクトモア

オクトモア 10年(左)・オクトモア 10.3(右)

オクトモア10年は208ppmと非常に強いピートで飲みごたえ十分。スコットランド産の麦芽のみを使用しています。
オクトモア10.3は113ppmでオクトモアの中では少し控えめのピートですが、それを感じさせない非常にパワフルなフレーバーがあります。
こちらはアイラ島産の麦芽のみを使用しており、アイラ島産の独特のフレーバーが楽しめます。

 

ブルックラディ年表

1881年 バーネット・ハーヴェイしにより創業
1886年 ブルックラディディスティラリーカンパニーを設立
1929年 蒸留所休業
1936年 蒸留所再開
1938年 ジョセフ・ホッブス氏、ハティム・アタリ氏、アレクサンダー・トルミー氏が蒸留所買収
1938年 業務をアソシエイトスコティッシュディスティラー社に移管
1952年 蒸留所をロスコールター社に売却
1960年 A.B.グラント社がロスコールター社を買収
1961年 自社製麦を中止
1968年 インバーゴードンディスティラー社が買収
1975年 蒸留器を4台に増設
1983年 蒸留所閉鎖
1993年 ホワイト&マッカイ社がインバーゴードンディスティラー社を買収
1995年 蒸留所閉鎖
1998年 数ヶ月だけ操業
2000年 マーレイマクダヴィッド社がJBB社から蒸留所を650万ポンドで買収
2001年 5月29日にポートシャーロットの初回蒸留が行われ、6月にブルックラディの蒸留がスタート。9月に10年、15年、20年熟成を以前の樽からリリース
2002年 10月23日に世界で最もピートの強いウイスキーとして80ppmのオクトモアを蒸留
2004年 20年熟成セカンドエディション、3D(3回蒸留)を発売
2005年 3Dセカンドエディション、インフィニティ、ロックス、レガシーを発売
2006年 ポートシャーロットの初回リリース、PC5が発売
2007年 レダースチル、レガシー6、PC6、18年熟成をリリース
2008年 オクトモア初回リリース、ブルックラディ2001を発売、PC7、ゴールダースチル発売
2009年 ブルックラディクラシック、オーガニック、ブラックアート、インフィニティ3、PC8、オクトモア2、X4+3(4回蒸留3年熟成)発売
2010年 PCマルチビンテージ、オーガニックマルチビンテージ、オクトモア3、ブルックラディ40年発売
2011年 2000年に蒸留所買収後に蒸留した樽でブルックラディ10年発売、PC9、オクトモア4発売
2012年 レミーコアントローが蒸留所を買収。ポートシャーロット10年、オクトモア、ラディ16、ベアバーレイ2006、ブラックアート3発売
2013年 スコティッシュバーレイ、アイラバーレイ、ロックサイドファームベアバレイセカンドエディション、ブラックアート4、ポートシャーロットスコティッシュバーレイ、オクトモア06.1、06.2発売
2014年 PC11、オクトモアスコティッシュバーレイ発売
2015年 PC12、オクトモア7.1、ブルックラディハイヌーン134発売
2016年 ラディーエイト、オクトモア7.4、ポートシャーロット2007発売
2017年 ブラックアート5、シェリーカスク25年発売。
2018年 ポートシャーロット10年、アイラバーレイ2011年発売

 

Wataru Kobayashi  小林渉

Vision  Whisky bar 吉祥寺
0422-20-2023
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