グレンリベット蒸留所 スコッチモルトウイスキー解説評価 / 吉祥寺 Vision

2021/11/22

グレンリベット

グレンリベット蒸留所について、徹底解説していきます。

 

グレンリベットの地理

生産国:スコットランド
地域:スペイサイド

 

グレンリベット蒸留所データと蒸留設備

所有者:ペルノ・リカール社
設立年:1824年
年間生産能力:2100万リットル
仕込水:ジョジーの泉
糖化槽:ワンバッチ13.5トン
発酵槽:ステンレス16基、オレゴンパイン16基
蒸留器:初留14基、再龍14基
熟成庫:

 

グレンリベットの解説

グレンリベット蒸留所はスコッチウイスキーを最も代表する蒸留所と言っていいでしょう。
それには2つのエピソードがあります。

まず1つ目は、政府公認蒸留所になる話です。
1822年に国王のジョージ4世が密造酒であるグレンリベットを飲みたいと言ってしまったことが発端となり、1823年に酒税法が改正され大幅に酒税が安くなり、1824年にグレンリベット蒸留所が政府公認第一号蒸留所になるという、ウイスキー業界にとって歴史的なイベントが発生しました。
もともとグレンリベット蒸留所の周りには200を超える密造酒の蒸留所がある密造のメッカだった場所でしがた、その中でも特に現在のグレンリベット蒸留所は美味しいと評判となっていたそうです。
創業者はジョージ・スミスで、もともと父の代から続く密造一家。旧姓はガウと言われ、これはガウというのはスコットランド風の名前すぎるということで、イングランド風のスミスと言う名前に改名した(させられた?)という話があります。
政府公認蒸留所になったあと、密造仲間からは裏切り者扱いされ命を狙われることもあり、常にピストルを持ち歩いていたそうです。また、何度も蒸留所が焼き討ちにあっているらしいです。
ただし、政府公認になったと、グレンリベットという名前がモルトウイスキーの代名詞のように扱われるようになり、勝手に他の蒸留所が「グレンリベット」と名乗って販売する事態になり、1880年代に裁判を起こし、単独でグレンリベットを名乗っていいのはグレンリベット蒸留所だけで「ザ」をつけるということになりました。

2つ目のエピソードは、ブレンデッドウイスキーの歴史の話です。
グレンリベットは、アンドリューアッシャーというウイスキーエージェントと提携し、輸出業を成功させます。
その際に、蒸留所内の樽をブレンドして味を均一にするという方法を取りました。
それまでのウイスキーは樽単位での販売で、味のばらつきがあるのが普通だったのですが、ブレンドすることにより品質を安定させ商品価値を高めました。
このブレンドを初めて行ったのがグレンリベットとアンドリューアッシャーで、その後、他の蒸留所ともブレンドして良いことになり、グレーンも混ぜて良いことになり、ブレンデッドウイスキーの時代が始まっていきます。
このように、ウイスキーの大きな歴史の中心に常にあるグレンリベットは、現在もウイスキー業界でも中心にいます。

シーグラム社が蒸留所を買収、その後ペルノリカールの傘下になってから、戦略の見直しが行われ、シングルモルトの販売を先んじて行い最も多く飲まれているシングルモルトのグレンフィディックを追い越すことを目標に巨額の投資が行われ、大きく生産量を伸ばしいています。

ノンピート麦芽のみを使用し28基の蒸留器で蒸留するウイスキーは、2100万リットルの生産能力を誇り、世界最大のモルトウイスキー蒸留所となっています。

 

グレンリベットの主なラインナップ

グレンリベット12年

グレンリベット 12年

一番スタンダードなグレンリベット。
ウイスキーを飲んでいく上で必ず通る道です。
非常に香りが高く、青りんごやバニラ、シトラス系の香りが素晴らしいボトルで、飲み方を選ばず、ハイボールもおすすめです。

 

グレンリベット14年

グレンリベット 14年 コニャックカスクセレクション

最近の新商品。
14年熟成させた樽の一部をコニャック樽に移し替えて追加熟成させた、甘さとフローラルな香りを両立させたボトル。
甘めの1杯目におすすめ。またシガーとの相性も良いです。

 

グレンリベットの年表

1817年 ジョージ・スミスが父のアンドリューから1774年から蒸留しているアッパードラミンの農場蒸留所を引き継ぐ
1840年 ジョージ・スミスがトミントールの近くのデナルボ農場を買収し、ケンゴン蒸留所を借りる
1845年 ジョージ・スミスが他に3つの農場を借り、そのうちの一つがリベット川に位置するミンモアと呼ばれる場所にある
1846年 ウィリアム・スミスが結核になり、兄弟のジョン・ゴードンが彼の父の補佐に戻る
1858年 ジョージ・スミスがミンモア農場を購入、蒸留所建設の許可を得る
1859年 アッパードラミンとケンゴンを閉鎖し、すべての蒸留施設をミンモアに集約。グレンリベット蒸留所に名称変更
1864年 ジョージ・スミスがウイスキーエージェントのアンドリュー・アッシャーと提携し、ウイスキーの輸出を大成功させる
1871年 ジョージ・スミスが亡くなり、息子のジョン・ゴードンが引き継ぐ
1890年 火災発生によりいくつかの建物が移築される
1896年 蒸留器を2基追加
1901年 ジョン・ゴードンがなくなる
1904年 ジョン・ゴードンの甥のジョージ・スミス・グラントが引き継ぐ
1921年 ジョージ・スミス・グラントの息子のビル・スミス・グラントが引き継ぐ
1953年 ジョージ&J.G.スミス社がグレングラント蒸留所のJ&Jグラントと合併、グレンリベット&グレン・グラント蒸留会社となる
1966年 フロアモルティングをやめる
1970年 グレンリベット&グレングラント社が、ロングモーングレンリベット社とヒルトムソン社と合併、グレンリベット社となる
1978年 シーグラム社がグレンリベット社を買収。ビジターセンターオープン。
1996年 ビジターセンターを拡張。マルチメディア機器を導入。
2000年 フレンチオーク12年、アメリカンオーク12年を発売
2001年 ペルノ・リカール社とディアジオがシーグラムスピリッツ&ワイン社を買収。これによりペルノリカール社がシーバスグループの経営権を獲得
2004年 商品ラインナップを大幅リニューアル。フレンチオーク15年が従来の12年と変更される
2005年 グレンリベット12年ファーストフィルとナデューラを免税店向けにリリース。1972セラーコレクションをリリース
2006年 ナデューラ16年カスクストレングス、1969セラーコレクションをリリース
2007年 XXVをリリース
2009年 蒸留器を4基追加。ナデューラトライアンフ1991をリリース。
2010年 蒸留器を2基追加し、生産量を1050万リットルに増強。グレンリベットファウンダーズリザーブをリリース。
2011年 マスターディスティラーズリザーブを免税店向けにリリース
2012年 1980セラーコレクションをリリース
2013年 18年バッチリザーブ、アルファをリリース
2014年 ナデューラオロロソ、ナデューラファーストフィルセレクション、ガーディアンズチャプター、50年熟成をリリース
2015年 ファウンダーズリザーブのソレラバッテッド、スモールバッチを免税店向けにリリース。
2016年 サイファーと50年セカンドエディションをリリース
2018年 キャプテンズリザーブ、コードをリリース。新蒸留棟稼働開始

 

Wataru Kobayashi  小林渉

Vision  Whisky bar 吉祥寺
0422-20-2023
Google Map  武蔵野市吉祥寺本町1-11-8 耶馬ビルB1
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