スプリングバンク蒸溜所モルトの香水と呼ばれるキャンベルタウンモルト / 中野 Whisky Burgers

2025/10/17

in: WHISKY BAR Whisky Burgers Scotch whisky

「モルトの香水」と呼ばれるスプリングバンク蒸溜所のウイスキー。
この名を知っていても、はたしてどういう蒸溜所なのか、そしてどうしてあまりお目にかかれないのか、皆様が意外と知らないかもしれないこのスプリングバンク蒸溜所について、今回はご紹介させていただきます。

まずは場所から。
スプリングバンク蒸溜所はスコットランドの西、キンタイア半島の先端にあるキャンベルタウンという街に位置しています。
北緯は約55.6度、日本よりも北にあることが分かりますね。

このキャンベルタウンという街。
かつては30を越える蒸溜所がありましたが、今や3つにまで減ってしまいました。

1600年頃から蒸溜所は多くあったようですが、この30を越える数の蒸溜所をこの土地に作ったのはスプリングバンクの創設者でもあるウィリアム・リードだそう。それが1828年頃。
キャンベルタウンは港町、土地柄がアメリカへの輸出に適しておりその需要の高さから蒸溜所が発展していったとされています。

しかし、1920年にはじまったアメリカの禁酒法により需要は激減。
さらに戦争や不況といった向かい風によりキャンベルタウンの蒸溜所は次々に閉鎖したそう。

スプリングバンクもこの波を受け一度閉鎖。
しかし1838年に買収していたミッチェル家によって、1989年に蒸留を再開します。

こんな歴史のあるキャンベルタウン、そしてスプリングバンク。
作り方にも言わずにはいられない特徴があるんです。

スプリングバンクは、なんと全ての工程（製麦、糖化、発酵、蒸溜、熟成、ボトリング）を自社で行なっています。
多くの蒸溜所は製麦など他社に依頼することも多くある中で、スプリングバンクは全てを行う。
オリジナルの味わいを生み出せる理由がここにあるのは間違いないでしょう。

そして作り方の中で注目したいのが、フロアモルティング。
これは製麦の工程で行われるものなのですが、床に広げた大麦を一定時間ごとに混ぜ酸素が均一に回るようにする作業。
数えるほどの蒸溜所しかやっていないこの作業、スプリングバンクは機械で行わず職人の手で100%行なっています。

そして察しのいい方はお分かりだと思いますが、そう、生産量がやはり少なくなってしまう。
この味わいをこだわって出すためにはしょうがないのだと分かりながはも、もう少し飲めたらなと思う気持ちにもとても共感です。

さて、スプリングバンクを知らなかった方も何だかアツくなってきているのではないでしょうか。

さてようやく。
どんなラインナップがあるのかをご紹介いたします。

スプリングバンクにあるのは3つのブランド。
スプリングバンク・ヘーゼルバーン・キルケランです。

▶︎スプリングバンク
2.5回蒸留でライトピート。
これがスプリングバンクのフラッグシップボトル。
「モルトの香水」たる所以を感じていただけるはず。

▶︎ヘーゼルバーン
3回蒸留でノンピート。
この名前は、以前キャンベルタウンにあった最大の蒸溜所から。
あの竹鶴政孝氏も1920年に修行に訪れていたという蒸溜所です。

▶︎ロングロウ
2回蒸留でベビーピート。
年数や熟成樽をさまざまなものを混ぜることでロングロウの個性がしっかりと出ているそう。
「モルトの香水」らしい味わいとピートが絡み合う。

ぜひ当店でも、そうでなくとも。
見かけた際はぜひ飲んでみてくださいね。

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