2026/08/04
近年のスコッチウイスキー界では、新設蒸留所の話題に事欠きません。
その中には華々しくデビューを飾る蒸留所もあれば、派手な宣伝をせず、着実に品質を積み重ねて評価を高めてきた蒸留所もあります。
ウルフバーン 10年
Wolfburn 10y
今回ご紹介するウルフバーン蒸留所は、まさに後者。
スコットランド本土最北端の町、サーソーに2013年誕生した若い蒸留所ですが、その名は19世紀に存在した同名の蒸留所を受け継いだものです。
失われた歴史を現代に蘇らせるという、ロマンのあるスタートでした。
現在のウルフバーンは、小規模生産を貫きながら、発酵時間を長く取り、ゆっくりと丁寧に蒸留することで、果実味豊かで柔らかな酒質を目指しています。
華やかさよりも調和を重んじる造り。若い蒸留所だからこそ、焦らず時間を味方につけようという姿勢が感じられます。
そんなウルフバーンからリリースされた10年熟成は、蒸留所にとって一つの節目となるボトル。
オロロソシェリー樽で熟成された原酒を主体に構成され、ノンチルフィルター、ナチュラルカラーでボトリングされています。
グラスに注ぐと、ドライフルーツやオレンジピール、赤いリンゴ、ハチミツの甘い香りが立ち上がります。その奥にはシナモンやナツメグを思わせる穏やかなスパイス、ほのかなナッツ香。
口当たりは驚くほど滑らかで、レーズンやキャラメル、ダークチョコレートのコクを感じさせながらも、重たくなりすぎません。
フィニッシュには樽由来の心地よいウッディさと優しいスパイスが長く続き、最後まで上品な印象を保ってくれます。
シェリー樽熟成と聞くと濃厚さを期待する方も多いかもしれませんが、このボトルはシェリー感を前面に押し出すというより、ウルフバーンらしい繊細な酒質を引き立てる使い方。
10年という熟成期間だからこそ表現できる、若さと落ち着きの絶妙なバランスです。
派手な個性で圧倒する一本ではありません。しかし、ゆっくりとグラスを傾けているうちに、「この蒸留所はこれからもっと面白くなる」と自然に思わせてくれる不思議な魅力があります。
歴史を受け継ぎ、新たな歴史を積み重ねる蒸留所。その現在地を知るには、これ以上ない一本と言えるでしょう。
Whisky Burgers Bar
中野/東京都中野区中野2-30-8 立川ビルB1
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