2015/10/14
さて、ウイスキー講座のスコッチウイスキー編。
前回は各地域の話を書きましたが、次は歴史をおさらいしましょう。
しかし、書き終わって見直してみても長いですね。
それだけスコッチの歴史は複雑ということでしょうか。
なるべく端的かつディープに書いたつもりです。
長文ご容赦ください。
スコットランドにウイスキーが伝わったのは
11世紀〜12世紀くらいと言われています。
その後、歴史上の最古の記録として文献に
ウイスキーが出てくるのは、1494年の
「王命により修道士ジョンコーに8ボルの
モルトを与えアクアヴィテを造らしむ・・・」という記載あります。
ウイスキーは穀物を原材料とした蒸留酒のため、
穀物由来の記録としてはこれが最古と言われています。
その後、1603年にスコットランド王ジェームズ6世が、
ジェームズ1世としてイングランド王に即位、同君連合が成立。
1707年にはスコットランド議会が閉鎖され、イングランドに併合。
前後してウイスキーに課税が始まり、密造が活発化していきます。
1822年にジョージ4世がスコットランドに訪問。
当時密造酒だったグレンリベットを飲みたいと言ったことをきっかけに、
1823年に現実的な税金に引き下げるための酒税法改正が行われ、
1824年にグレンリベットが第一号政府公認蒸留所になります。
その後は多くの蒸留所が政府公認蒸留所になっていきます。
この時、グレンリベットのジョージ・スミスは
政府公認蒸留所になったことで他の蒸留所から裏切り者扱いされ、
命を狙われていたと言われています。
1831年にイーニアス・コフィーにより連続式蒸留機が誕生。
カフェ式連続式蒸留機と言われるものはコフィーの名前より
つけられたもので、日本の宮城峡蒸留所のものはこれです。
1853年にアンドリュー・アッシャーにより
ブレンデッドウイスキーが誕生。
その後はブレンデッドウイスキーが主流となっていきます。
ちなみにその時のブレンデッドウイスキーは
グレンリベットの樽を混ぜたもので、現在の定義ではシングルモルト。
ただこの時代には樽を混ぜるということが
新しい試みだったということです。
1877年にグレーンウイスキー業者6者が集まり、
DCLという巨大なウイスキー業者が誕生。
その頃、ブドウに寄生する害虫のフィロキセラにより
ワインやブランデーが不足し、
ブレンデッドウイスキーがシェアを伸ばしていきます。
余談ですが、イギリス人はワインやブランデーが大好き。
フランス人はウイスキーが大好きと言われています。無い物ねだりですね。
1900年代初頭に、ブレンデッドウイスキーは
ウイスキーではないという、通称ウイスキー論争が始まり、
最終的にはブレンデッドウイスキーもウイスキーであると承認されます。
その後第一次世界大戦が発生。
その直後の1918年に竹鶴政孝が
スコットランドにウイスキーづくりに留学。
1920年にアメリカ禁酒法が発令。
中小の蒸留所が閉鎖に追い込まれます。
さらに、1939年に第二次大戦が発生。
この時、稼働蒸留所が45蒸留所まで減少。
第二次大戦後に少しずつ復帰し始めます。
1960年代にはウイスキーの黄金期と言われる
非常に活況な時期を迎えますが、1980年代には一時衰退。
1983年〜85年にかけて多くの蒸留所が閉鎖されます。
その後、1987年にDCLがユナンテッドディスティラリーズ社になり、
シングルモルトの「クラシックモルトシリーズ」を発売。
この時からブレンデッドウイスキーの時代から
シングルモルトの時代に切り替わっていきます。
実は、シングルモルトが飲まれるようになってから、
まだ30年くらいしか経ってないんです。
また、ワインやシェリーよりも圧倒的に歴史が浅い飲み物なのに、
これだけ市民権を得ているというのも、
ウイスキーが素晴らしいお酒であるということがわかります。
ちなみに、よくお客様から聞かれる話で、
なぜ閉鎖された蒸留所は美味しいのに
閉鎖されてしまったのかという質問を受けます。
それに対しての私なりの解答はいつもこう答えています。
・1987年からシングルモルトが飲まれるようになるまでは、
シングルモルトは癖が強くて飲みづらいお酒、
つまり美味しくないお酒と認識されていた。
・1983年〜85年の蒸留所の閉鎖よりあとに
シングルモルトが飲まれるようになり、タイミングが悪かった。
・閉鎖蒸留所で現在発売されているものは、熟成年数が長くなっている。
そしてスコッチウイスキーの過去の文献を読むと、
20年以上熟成させてもおいしくならないという記載があり、
それを過ぎても美味しい状態で発売されている
現在の閉鎖蒸留所の超熟は奇跡に近い味わいと思っていい。
現在はシングルモルトが多数流通して
癖のある味わいも受け入れられています。
多様性により選択する楽しみが出てきたということだと思います。
しかし、ブレンデッドウイスキーとシングルモルトウイスキーでは、
販売されているのは9割はブレンデッドウイスキーです。
飲みやすく整えられたブレンデッドと、その原酒のシングルモルト。
TPOによって使い分けながら飲むのが良いかと思います。
次は製造工程にしましょうか。
Wataru Kobayashi