2007/09/22
1830年、アイルランドで、時間のかかりすぎる伝統的なポットスチルに代わり、
パテントスチルを使った新しいウィスキー製造法が開発されました。
しかし、アイルランド人達は、「ウィスキーはポットで作るもの」と伝統的製造法に固執。
その間に、スコットランド人らが、この新方式を採用し、20世紀初頭には、
アイルランドに移住して主な蒸留所を買収、改造してしまいました。
こうしてアイルランドは、20世紀に入り、ウィスキーのメッカとしての地位を失い、
蒸留所の数も減少。さらに、唯一の輸出市場であったアメリカが禁酒法時代に入り、
アイリッシュ・ウィスキーの衰退に拍車がかかりました。第二次世界大戦の終結とともに、
アイルランド政府は、輸出からは税が得られないという理由で、輸出を全面禁止。
こうして、それまでに、微々たる生産量になっていたアイリッシュ・ウィスキーは、
アイルランド国内でしか販売されなくなってしまったのです。
そして60年代半ば、伝統産業を復活させようという政府の指導の下、
残った蒸留所が合併され、アイリッシュ・ディスティラーズが設立されました。
72年には、シーグラムが手放したブッシュミルズも合併され、
アイルランドのウイスキー市場は、一社による完全な独占状態となっていました。
30年後に、この独占状態に終止符を打つ起業家が現れるまで・・・。
アイルランド島の北東に位置するダンダルク市の東(ダブリンより北に80キロ)
山々に囲まれたクーリー半島にあり、アイルランド政府の経済拡大政策に沿って、
ジョン・ティーリング氏が1987年に設立した、唯一の純アイルランド資本の独立系蒸留所。
それがクーリー蒸留所です。実際の生産は1989年からで、ポットスチルによる
3回蒸留ではなく、アイリッシュでは珍しい2回蒸留が特徴です。
また、アイリッシュ初となるピート麦芽による仕込みを行っており、
これは限りなくスコッチの製法に近く、「アイリッシュ」という枠に収まりきらない。
まさに「革命児」の面目躍如といった造りなのです。意欲的な商品を次々にリリースし、
着実にその地位を築きつつある蒸留所にまでなりました。
そして今回、老舗のベリー・ブラザーズ&ラッド社がボトリングしたクーリー蒸留所
で産まれたアイリッシュモルトがこちら・・・
クラオイ ナ モーナ ベリー・ブラザーズ&ラッド
レモンピール、軽くクリーンなピート香を感じ、柔らかい麦芽の甘みがゆっくりと
広がり、牧草の香りとともにピートの特徴が感じられるシングルモルトです。
「クラオイ・ナ・モーナ」とは、ゲール語で「ピートの魂」という意味。
また、ラベル図案も「ピート堀り大会」のチャンピオンが描かれています。
まさにピートこそ、クーリーの真髄と云わんばかりに。。
たまには、ピーティーなアイリッシュモルトに浸ってみますか。。
馬肉の燻製とローストの2タイプのモルト寿司と共に。。
数量限定でご用意しています。明日には、なくなっちゃいそうですよ。。
今夜もVisionにて、お待ちしております。