世界ヘビー級ピートレベル/vision

2007/03/02

in: Vision
visionの八嶋です。ゲール語で『盛り上がった砂浜』という意味をもち、
オイルっぽさや薬のような味を避け、複雑でしなやかなスタイルを造り上げる為に、
使用する大麦に焚きつけるピートは微量にとどめられており、アイラ島の中でも
高いスチルネックから造りだされ、エレガントで洗練された華やかさを持っています。
そう、今夜は『ブルイックラディ』です。

蒸留所は、1881年にアイラ島の海岸沿いにハーベイー家により設立されました。
1994年に一度閉鎖されたものの、2000年12月19日、マーク、ゴードン、サイモン、
ジムそしてアンドリューの手によって再び蘇りました。2001年8月26日の最初の
蒸留が行われた日は、3400人もの島民がその誇りと喜びを分かち合ったそうです。
蒸留所ではコンピューターや自動機器を一切使用せず、ヴィクトリア調の設備が
今もしっかり稼動しており、蒸留から熟成、瓶詰まですべてが蒸留所にて行われます。
現在、ブルイックラディ蒸留所では、ピートの違う3種類のモルトを生産しています。
そんな3つを味わえるブルイックラディがこちらです。。

TS070302

         
ブルイックラディ3D サードエディション ノリー・キャンベル トリビュート

1961年まではブルイックラディもピートを焚いて生産されていました。
そして今、60年代以前のオリジナルスタイルと、3度にわたる蒸留所閉鎖の際にも
蒸留所への愛情と忠誠心を見せてくれた人達への敬意を表し、ジム・マッキュワン氏が
リリースしたのがこの“3D”シリーズなのです。通常のブルイックラディとは異なり、
非常にピートの効いた味わいでボトリングされていますが、今回の3D第3弾には、
ポートシャーロットだけでなく、世界で最もピーティーなモルト、オクトモアが使用され、
最終フェノール値が約40PPMという驚くべき高い数字でボトリングされています。

【ピートレベルって!?】
麦芽に炊き込まれているピートのレベルを測る指標としてフェノール値があります、
一般的に良く知られているのはピートが焚き込まれた直後の麦芽から測定された値です。
蒸留や熟成後に製造過程でその値は下がっていき、最終的なフェノール値は
当初のものより低くなります。アイラ島の主な蒸留所の
「ニューポットの段階」でのフェノール値をご覧頂きましょう。。
BOWMORE (8~10PPM) CAOL ILA (12~13PPM) LAGAVULIN (16~18PPM)
ARDBEG (23~24PPM) LAPHROAIG(25PPM) PORT CHARLOTTE(20~25PPM)
OCTOMORE(29~46PPM) ※「PEAT SMOKE AND SPIRIT( Andrew Jefford )」より引用

【3Dって!?】3つの年代、3種類の樽、3段階のピートレベルの原酒で構成されるシリーズ、
年代は1989、1998、2001年蒸留の3種類で、樽の種類はリフィル・シェリー、
リフィル・バーボン、フレッシュ・バーボンの3種類。そして、ピートレベルが、
5、25、40ppm の3種類という3にこだわった3次元イメージのシリーズなんです。

毎回サブタイトルがついている3Dシリーズ。ピート・プロポーザル「ピートの提案」が
ファースト、「モニャヴォール」ゲール語で「ビッグ・ピート」を意味したのがセカンド。
今回は「ノリー・キャンベル トリビュート」と銘打たれています。
ノリー・キャンベル氏は生粋のイーラッハ(アイラ生まれ・アイラ育ち)のピート職人で、
今年の初めに癌で亡くなるまでアイラのほぼ全ての蒸留所にピートを供給してきました。
特にジム・マッキュワン氏とは緊密な関係にあり、氏は彼を悼み、敬意をもって
ピートそのものを味わえるようなこのウイスキーを彼に捧げることにしたんだそうです。
このウイスキーにも、彼の掘ったピートが使われているのかもしれませんね・・・。合掌

ブルイックラディ ポートシャーロット evolution PC5 カスクストレングス

ポートシャーロットとは、ブルイックラディの西部にある漁村の地名に由来しており、
以前は実際にポートシャーロットという蒸留所が存在していました。
2001年春にブルイックラディ蒸留所を再稼動させたジム・マッキューワン氏にとって、
再稼動時にピートを非常に強く焚きこんだ麦芽で仕込んだ貴重なシングルモルトで、
2006年ボトリングの5年熟成ものなわけです。先の通りピートレベルについては
ニューポット時に20~25PPMを計測しており、ヘビーピートタイプになっています。
総ボトリング数6000本のうち、日本への入荷はは200~300本の逸品です。

ブルイックラディ 1991 イエローサブマリン

2005年9月8日、ポートエレンの沖合で小型の潜水艦が発見されたんです。出所に関して
物議が醸されましたが、最終的には国防庁のものと判明し、いつもは静かなアイラ全島を
巻き込むちょっとした騒動になったのでした。ブルイックラディではこの事件を記念して、
話題の潜水艦をラベルにあしらったボトルをリリースしました。リオハワインの樽で
フィニッシュされており、柔らかな甘さやフルーティさを際立たせています。

如何ですか!?アイラの中でも、ちょっと忘れがちなブルイックラディ。
この他に、ボトラーズものも数本ご用意しますよ。内緒で。
アイラ好きにも満足のいくアイテムを取り揃えてみました。
今夜もvisionにて、お待ちしております。

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