2008/02/05
また、イタリアの歌、歌声、 楽器の調べを意味するカントという言葉もあります。
「ベルカント」って聞いたことありますかね。18世紀に成立したイタリア・オペラに
おけるある種の理想的な歌唱法の1種だそうですよ。音の美しさ、柔らかな響き、
そして滑らかな歌いまわしに重点を置いたものなんですって。素敵な言葉です。
さて、モルトでも「カント」という名の新たなシリーズがリリースされました。
コンパスボックスという、2000年にジョン・グレイザーによってエジンバラに
創設されたボトラーズ会社からです。
彼は、カードゥ蒸留所での研鑽を経て自分の理想とするウイスキーを作ろうと独立。
同社を立ち上げ、ウィスキーマガジン誌主催の第1回ウィスキーアワードで
「年間最優秀技術革新者賞」を受賞した鬼才なんです。テリー・ギリアムのデザインする
斬新で懐古的なラベルを採用し、スコッチウィスキー業界に新風を吹き込んでいます。
また古代ギリシャを彷彿とさせるネーミングにはシュール・レアリスムと
コンテンポラリーさの巧みな融合をも感じさせてくれてます。
そんなコンパスボックスからの新たなシリーズが「Canto Cask」です。
様々な種類のアメリカンオークとフレンチオークの樽を異なるレベルでトーストし、
そのなかにハイランドモルトを詰めたものです。全部で16種類の樽をボトリングした
ということですが、それぞれ顕著な違いが味に表れているんでしょうかね!?
コンパスボックスカント17
「カント」とは長詩の一編一編を指す言葉。シングルカスクのボトルが、
壮大な旋律の美しい一編になるという想いから命名されています。
「カント17」はカスクナンバー17を表しています。このロットは日本とギリシャ向け
ということで、使用した樽はフレンチオークでトーストレベルは7だそうです。
10~12年熟成程度のクライネリッシュ、ダルユーイン、ティーニニックをヴァテッド
の後、内側を焦がした樽で18ヶ月後熟された53.4%のカスクストレングスです。
オークの甘みやバニラ香が最大限にまで引き出されています。
フレイミングハート
16年程度熟成のカリラ、クライネリッシュ、ロングモーンをヴァテッド。
カリラに由来するアイラの風味に加え、クライネリッシュやロングモーン等の
モルティーでフルーティーな味わいも感じられ、驚く程のボディの厚みがあります。
さに驚かれるのではないでしょうか。フレイミングハートは「燃え上がる心」。
ザ・ピート・モンスター
10~12年熟成のカリラと12~17年熟成のアードモアを50%ずつヴァテッド。
力強く、非常にスモーキーでピーティー。ふくよかなボディーに、 わずかな甘味を感じる。
ヨード感と共にフルーティーでスパイシーな香り、バランスよく豊かで複雑な味わい。
ヘドニズム
ウイスキーマガジンで年間最優秀新商品賞を受賞した、ヴァテッドグレーンウイスキー。
中身はカンバス蒸留所とカレドニアン蒸留所。丁寧に熟成された本当のグレーンの
素晴らしさと、誰も飲んだ事の無い美味しいグレーンウイスキーを作ろうとしたもので
現地には現在稼動していない蒸留所のグレーンがかなり残っていて、それをつぶさに
テイスティングし、原酒2種を選びヴァッティングしたそうです。
「Canto Cask」のリリースにあわせて、そのほかのコンパスボックスシリーズも
集めてみました。ヴァテッドの奥深さを感じさせてくれる逸品たちです。
壮大な旋律の美しい一編を頭に描きながらの一杯いかがです!?
今夜もvisionにて、お待ちしております。