アードベッグ蒸留所 スコッチモルトウイスキー解説評価 / 吉祥寺 Vision

2023/09/13

アードベッグ

アードベッグ蒸留所について、徹底解説していきます。

 

1. アードベッグの地理

生産国:スコットランド
地域:アイラ

 

2. アードベッグ蒸留所データと設備

所有者:モエヘネシー・ルイ・ヴィトン社
設立年:1815年
年間生産能力:240万リットル
仕込水:ウーガダール湖
ワンバッチ:5トン
発酵槽:オレゴンパイン11基
蒸留器:初留2基、再留2基
熟成庫:

 

3. アードベッグの解説

アードベッグ蒸留所は1815年創業の蒸留所。
アイラ島南岸に位置するアードベッグ、ラガヴーリン、ラフロイグの3つの蒸留所はその教区の名前を取ってキルダルトン3兄弟と呼ばれます。
キルダルトンは8世紀に建てられた古い教会で、その庭にはキルダルトンクロスと言われる有名なケルト十字があり、アイラ島の観光名所の一つとなっています。アードベッグ蒸留所はそのキルダルトンクロスに最も近い蒸留所です。

アードベッグ蒸留所はアイラ島の住人のジョン・マクドゥーガルによって建設され、以降、マクドゥーガル家によって運営されてきました。
1973年にカナダのハイラムウォーカー社とDCLにより買収され、直後に製麦棟は閉鎖、1975年にはすべてをポートエレン製の麦芽にい切り替えられます。
「アードベッグのキルンには煙突の機能がなく煙がこもるため、異様なくらいヘビリーピーテッドになる」と言われており、その伝統の麦芽はこの際に失われてしまいます。

その後、1981年にウイスキー不況により蒸留所閉鎖が決定。
1989年に当時のオーナーのアライド社が創業を再開したものの、年に2〜3ヶ月しか創業出来ませんでした。
アライド社は当時ラフロイグ蒸留所も所有していたため、似たような原酒を作る蒸留所は2つも不要だったという経緯があります。
その後1995年に再び閉鎖、売却を決定しました。
「設備が古すぎて造れない」と言われていましたが、ラフロイグの職人がデモンストレーションとして年に1〜2ヶ月生産したと言われています。

1997年にグレンモーレンジィ社が700万ポンド(当時の金額で12億)で買収。それ以降アードベッグは次々と話題となる限定ボトルを発売し、現在のアードベッグファンを生み出しました。
熱狂的なアードベッグファンを「アードベギャン」と呼びます。

アードベッグの仕込みはワンバッチ5トンで、麦芽は現在もポートエレンより調達しています。
フェノール値は55〜65ppmでアイラ島では最も高い数値。マッシュタンはセミロイタータンで、得られる麦汁は2万3000リットル、発酵槽はオレゴンパインで6基だったのですが、第2蒸留所が完成し現在は11基となっています。
使用する酵母はマウリのドライイーストで発酵時間は64時間、もろみのアルコール度数は8.6%です。
蒸留器は背の高いランタンヘッドで初留再留2基ずつ。そのうちワンペアは第二蒸留棟に設置されています。
初留に張り込む量は1万1500リットル、再留は1万3000リットルで、再留のほうが多くなっているのは初留2回分を一緒にして1基の蒸留器に入れるからです。
また、アードベッグの特徴として、アイラ島では唯一精留器が再留器に取り付けられていることで、アイラ島で最もヘビーなピート麦芽ながらフルーティでスイートなのはこの精留器の影響と言われています。

元々の生産量は130万リットルでしたが、第二蒸留棟が出来て現在は240万リットルとなっています。

 

 

4. アードベッグのラインナップ

アードベッグ 10年

 

Ardbeg 10y
アードベッグ 10年

最もスタンダードなアードベッグ。
強いスモーキーな香りで、他のアイラモルトと比べると、ピートによる薬品香よりはどちらかというと強い焦げを感じる香り。
フレーバーもスモーキーだが比較的ライトでクリーンです。

 

アードベッグウーガダール

Ardbeg Uigeadail 
アードベッグ ウーガダール

シェリー樽に移し替えて追加熟成されたボトルで、アルコール度数高くボトリングされています。
そのためスモーキーとスイートが共存するのですが、アルコール度数の高さから非常に飲みごたえのあるボトルです。

 

アードベッグ コリーヴレッカン

 

Ardbeg Corryvreckan
アードベッグ コリーヴレッカン

ヨーロピアンオーク樽に移し替えて追加熟成されたボトル。こちらもウーガダール同様アルコール度数高くボトリングされています。
ウーガダールよりは甘さ控えめな分、非常に強いスモーキーフレーバーをダイレクトに味わえるボトルです。

 

5. アードベッグの年表

1794年 アレクサンダー・スチュワートが創業したというアードベッグ蒸留所の最初の記録が残っている
1798年 後にアードベッグの蒸留免許を取得するマクドゥーガル家が、ダンカン・マクドゥーガルを通じてこの地で活動をしていた
1815年 現在の蒸留所がダンカン・マクドゥーガルの息子のジョン・マクドゥーガルによって創業
1853年 ジョンの息子のアレクサンダー・マクドゥーガルが亡くなり、姉妹のマーガレットとフローラが、コリン・ハイの支援のもと蒸留所を継続。コリン・ハイが姉妹が亡くなった際に蒸留免許を引き継ぐ
1888年 コリン・エリオット・ハイとアレクサンダー・ウィルソン・グレイ・ブキャナンがライセンスを更新
1900年 コリン・ハイの息子が蒸留免許を引き継ぐ
1959年 アードベッグディスティラリー社を創業
1973年 ハイラム・ウォーカーとDCLは共同でアードベッグディスティラリートラストを通じて蒸留所を30万ポンドで購入
1977年 ハイラムウォーカーが蒸留所の単独経営者となる。アードベッグの自家製麦を閉鎖
1979年 ピートの少ないモルトを使用したキルダルトンを複数年にわたり製造
1981年 3月に蒸留所閉鎖
1987年 アライドライオンがハイラムウォーカーを買収。それによりアードベッグも買収される
1989年 生産再開。すべてのモルトをポートエレンから調達
1996年 7月に蒸留所閉鎖
1997年 グレンモーレンジィ社が蒸留所を700万ポンドで買収。アードベッグ17年、プロヴェナンスを発売
1998年 新しいビジターセンターをオープン
2000年 アードベッグ10年を発売。アードベッグコミッティを立ち上げ
2001年 ロードオブジアイルズ25年、アードベッグ1977を発売
2002年 アードベッグコミッティリザーブ、アードベッグ1974を発売
2003年 ウーガダールを発売
2004年 ベリーヤングアードベッグ(6年)、リミテッドエディションのアードベッグキルダルトンを発売
2005年 セレンディピティを発売
2006年 アードげッグ1965、スティルヤングを発売。オールモストゼア(9年)、アーリナムビーストを発売
2007年 アードベッグモア、10年の4.5リットルボトルを発売
2008年 新バージョンの10年、コリーヴレッカン、ルネサンス、ブラスダ、モア2を発売
2009年 スーパーノヴァを発売
2010年 ローラーコースター、スーパーノヴァ2010を発売
2011年 アードベッグアリゲーターを発売
2012年 アードベッグデイ、ガリレオを発売
2013年 アードボッグを発売
2014年 オーリヴェルデ。キルダルトンを発売
2015年 パーペチウム、スーパーノヴァ2015を発売
2016年 ダークコーヴ、トゥエンティサムシング21年を発売
2017年 アンオー、ケルピー、トゥエンティサムシング23年を発売
2018年 グルーヴス、トゥエンティサムシング22年を発売
2019年 ドラム、トリーバンを発売
2020年 ブラーーーック、ウィービースティ、トリーバンバッチ2を発売
2021年 9年、25年、アーーーーーーードベッグ、スコーチ、トリーバンバッチ3を発売
2022年 ファーミュテーション、アードコア、スモークトレイルス、トリーバンバッチ4を発売

 

Wataru Kobayashi 小林渉

Vision Whisky Bar ヴィジョン
吉祥寺/東京都武蔵野市吉祥寺本町1-11-8 耶馬ビルB1
0422-20-2023
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