クラガンモア蒸留所 スコッチモルトウイスキー解説評価 / 吉祥寺 Vision

2023/05/17

クラガンモア
クラガンモア蒸留所について、徹底解説していきます。

 

 

1. クラガンモアの地理

生産国:スコットランド
地域:スペイサイド

 

2. クラガンモア蒸留所データ・蒸留設備

所有者:ディアジオ社
設立年:1869年
年間生産能力:220万リットル
仕込水:クラガン川
ワンバッチ:6.8
発酵槽:オレゴンパイン6基
蒸留器:初留2基、再留2基
熟成庫:

 

3. クラガンモアの解説

クラガンモアはジョン・スミスが創業した蒸留所で、スペイ川中流域のエイボン川がスペイ川に合流する地点に建てられています。
ジョン・スミスは当時有名な蒸留職人で、グレンリベットやマッカラン、グレンファークラスなどの蒸留所のマネージャーを歴任しています。
一節によるとグレンリベットのジョージ・スミスの私生児とも言われています。
ジョンの死後、息子のドナルドが引き継いだ(Malt whisky year book 2023ではゴードンとなっており相違があります)後、1923年にホワイトホースのマッキー社とバリンダルロッホの城主のマクファーソン・グラント家が共同で買収しました。
その後1965年にDCLが買収し、現在はDCLの所有となっています。
クラガンモアはクラシックモルト6種に選ばれており、その中でもシングルモルトの出荷量が一番少なく、その理由としては生産量が220万リットル前後と少ないこと、オールドパーの主要原酒でほとんどがそちらに使われていることが挙げれられます。オールドパーは極東マーケットくらいでしか知られていなかったのですが、中南米で売上が伸びており、現在はブレンデッドスコッチのトップ20に入っています。

クラガンモアの特徴としては再留器がT型のシェイプをしていることと、屋外ワームタブ方式の冷却装置です。
T型シェイプの理由としては、一説によると建物に対して蒸留器が入らず、仕方なく上部を切ってT型に作り直したという話があります。
また、屋外ワームタブはワームが15〜16メートルしか無く、この長さは通常の3分の1で、蒸留のスピードが早くなるため、それがサルファリーと言われる硫黄のようなフレーバーを生み、複雑なコクを出しています。

クラガンモアのロゴは線路を模したデザインとなっており、それは蒸留所の玄関にもそのようなあしらいがしてあります。
これは創業者のジョン・スミスが鉄道が大好きで、原材料の搬入、搬出などのために敷地内に鉄道を敷いたというエピソードから来ています。
18世紀から19世紀にかけて、スコットランドを中心に産業革命が起こり、その際にグレートブリテン島に鉄道の敷設が一気に進む時期と、スコッチウイスキーの多くの蒸留所が19世紀前半から中盤に誕生していること、ウイスキーの物流を鉄道が支えたという時代背景が汲み取れるエピソードです。
また、ジョン・スミスは大変な巨体であり、鉄道好きでしたが客車に乗れず、貨車に乗った事があるという話もあります。

更には産業革命が進み電気が使われるようになるといち早く電気を導入。
蒸留所に積極的に最新のものを取り入れるという積極性がある蒸留所です。

 

4. クラガンモアのラインナップ

クラガンモア12年

クラガンモア 12年

最もスタンダードなオフィシャルボトルのクラガンモア。
フルーティでクリーミー、やや重めで複雑なフレーバーがあり、グレンフィディックやグレンリベットが好きなお客様に次に薦めることの多いボトルです。
ハイボールも人気です。

 

クラガンモアSMWS

スコッチモルトウイスキーソサエティ 37.136
A chocolatey, creamy and crunchy treat

ソサエティからリリースされているクラガンモアの17年熟成。
バーボン樽熟成の後、オロロソ樽でフィニッシュされており、クリーミーなフレーバーに更に甘さが加わり、お菓子のようなフレーバーがある大変素晴らしいボトルです。

 

5. クラガンモアの年表

1869年 グレンファークラス蒸留所を稼働させていたジョン・スミスがクラガンモア蒸留所を創業
1886年 ジョン・スミスが亡くなり、彼の兄弟のジョージが蒸留所を引き継ぐ
1893年 ジョンの息子のゴードンが21歳で運営を任される
1901年 蒸留所を有名な建築家のチャールズ・ドイグの手で改築する
1912年 ゴードン・スミスが亡くなり、未亡人のメアリー・ジェーンが事業を統括
1917年 蒸留所閉鎖
1918年 蒸留所再開、メアリー・ジェーンが電気を導入する
1923年 蒸留所が新しく創設されたクラガンモアグレンリベット社に売却され、マッキー社とバリンダルロッホエステートのサー・ジョージ・マクファーソン=グラントがオーナーシップを所有する
1927年 ホワイトホース社がDCLに買収され、DCLはクラガンモアの50%を取得する
1964年 蒸留器を2基から4基に増設
1965年 DCLがクラガンモアの残りを買収する
1988年 クラガンモア12年をユナイテッドディスティラーの6つのクラシックモルトの1つとして発売
1998年 クラガンモアディスティラーズエディション・ダブルマチュアード(ポートフィニッシュ)を初めて発売
2002年 ビジターセンターを5月にオープン
2006年 1998年蒸留17年熟成を発売
2010年 マネージャーズチョイス・シングルカスク1997、21年リミテッドエディションを発売
2014年 25年熟成を発売
2016年 スペシャルリリース・ノンエージとディスティラリーエクスクルーシブを発売
2019年 12年カスクストレングスをスペシャルリリースとして発売
2020年 48年熟成と20年熟成を発売
2022年 48年プリマ&ウルティマを発売

 

Wataru Kobayashi 小林渉

Vision Whisky Bar ヴィジョン
吉祥寺/東京都武蔵野市吉祥寺本町1-11-8 耶馬ビルB1
0422-20-2023
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