ノックドゥー蒸留所 スコッチモルトウイスキー解説評価 / 吉祥寺 Vision
2023/02/22
ノックドゥー蒸留所について、徹底解説していきます。
1. ノックドゥーの地理
生産国：スコットランド
地域：スペイサイド
2. ノックドゥー蒸留所データと設備
所有者：タイ・ビバレッジ社
設立年：1893年
年間生産能力：200万リットル
仕込水：ノックヒルの泉
ワンバッチ：5トン
発酵槽：オレゴンパイン8基
蒸留器：初留1基、再留1基
熟成庫：
3. ノックドゥーの解説
ノックドゥーは1893年創業の蒸留所で、DCLが建設しました。
DCL自体は1877年年創業で、多くの蒸留所を抱えるスコッチ業界の最大手ですが、実は殆どが買収により手に入れた蒸留所で、自社で建てた蒸留所というのはほとんどなく、ノックドゥーはDCLが建てた蒸留所として大変貴重な蒸留所です。
蒸留所の語源は「黒い丘」を意味するゲール語です。
創業から100年近くDCLが運営してきましたが、オイルショックを発端とする1980年代のウイスキー不況により、1983年に閉鎖してしまいます。
1983年には他にもポートエレンやブローラなどのDCLの有名蒸留所が多数閉鎖しています。
しかし1988年にインバーハウス社が蒸留所を買収。さらにそのインバーハウスをタイの会社が買収、現在はタイビバレッジ社の所有となっています。
DCL時代にはシングルモルトのリリースはほとんどなく、ブレンデッド原酒として使われることがほとんどでしたが、インバーハウス買収後はシングルモルトのリリースも増えました。
その際に他に「ノッカンドオ」や「カードゥ」など名前が似た蒸留所があり紛らわしいということで、「アンノック」というブランドでリリースすることが決まりました。
アンノックというのはゲール語で「小さい丘」を意味します。
仕込みはワンバッチ5トンで、マッシュタンはステンレス製のセミロイタータン。
発酵槽はオレゴンパインが8基で、そのうち2基が「仕上げ用」とされています。
これは通常の発酵を45時間実施した後、仕上げ用に入れ20時間の追加発酵を行うという特殊な製法を行っています。
蒸留器は2基で、ボール型の蒸留器を使用。
冷却は屋外ワームタブを使用しています。屋外ワームタブはどうもDCLの伝統のようです。
さらにワームタブの手前に水平式のシェル＆チューブも設置されており、冷却効果をさらに高め、銅とのコンタクトを増やす工夫がされています。
製造量のうち70％はノンピートで30％がヘビリーピーテッド。
フェノール値は45ppmとやや高めで、これは「ピートハート」という名前でボトリングされています。
4. ノックドゥーのラインナップ
ノックドゥー 2011 10年 ハートブラザーズ
1964年創業のボトラーズ、ハートブラザーズからのリリース。
カスクストレングスでアルコール度数は57.2％とやや高めとなっていますが、それを感じさせないスムーズな口当たりと非常に濃厚なバニラフレーバーが大変心地よいボトルです。
バーボン樽でしっかり甘いウイスキーを飲みたいときにおすすめのボトルです。
4. ノックドゥーの年表
1893年 DCLが蒸留所の建設を開始
1894年 10月から蒸留開始
1930年 SMDが蒸留を引き継ぐ
1983年 5月に蒸留所閉鎖
1988年 インバーハウスがUDより蒸留所を買収
1989年 2月6日より蒸留再開
2001年 パシフィックスピリッツがインバーハウスを買収
2003年 アンノック12年を市場に再投入
2004年 1990年蒸留14年熟成を発売
2005年 1975年蒸留30年熟成、1991年蒸留14年熟成を発売
2006年 インターナショナルビバレッジホールディングスがパシフィックスピリッツUKを買収
2007年 アンノック1993を発売
2008年 アンノック16年を発売
2011年 1996ヴィンテージを発売
2012年 35年熟成を発売
2013年 22年熟成、1999ヴィンテージを発売
2014年 ピーテッドのルター、フローター、タスカー、カッターを発売
2015年 24年熟成、1975ヴィンテージ、ピートランドをリリース、ブラックヒルリザーブ、バローを免税店向けに発売
2016年 2001ヴィンテージ、ブラス、ルーアンを発売
2017年 2002ヴィンテージ、ピートハートを発売
2019年 16年カスクストレングスを発売
2021年 2009ヴィンテージを発売
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