ベンリネス蒸留所 スコッチモルトウイスキー解説評価 / 吉祥寺 Vision

2022/05/03

ベンリネス

ベンリネス蒸留所について、徹底解説していきます。

 

  1. ベンリネスの地理
  2. ベンリネス蒸留所データと蒸留設備
  3. ベンリネスの解説
  4. ベンリネスのラインナップ
  5. ベンリネスの年表

 

1. ベンリネスの地理

生産国:スコットランド
地域:スペイサイド

 

2. ベンリネス蒸留所データ・蒸留設備

所有者:ディアジオ社
設立年:1826年
年間生産能力:350万リットル
仕込水:スカーラン川とローワンツリー川
糖化槽:ワンバッチ8.5トン
発酵槽:オレゴンパイン8基
蒸留器:初留2基、再留4基。
熟成庫:

 

3. ベンリネスの解説

ベンリネス蒸留所は1826年創業の蒸留所で、ベンリネスという名前の由来はスペイサイドで最も高い山の名前から来ています(ちなみに”Ben”というのが山を表すゲール語です)。
ベンリネス山は標高840メートルで、蒸留所はそのやあの北麓の標高213メートルの位置にあります。
もともとは現在の位置から1キロくらいのところのホワイトハウス農場に建てられたのですが、1829年の洪水で流失し、1834年にジョン・イネスにより再建されました。
しかしながら、すぐに破産、その次のオーナーもすぐに破産し、さらに1896年に火災により被害にあい大規模改修を余儀なくされるなど、非常に悲運な蒸留所でした。
安定したのはジョン・デュワー&サンズ社が買収、その後DCLの傘下に入ったあたりで、その後は主にジョニーウォーカーやJ&Bの主要原酒として重要な位置づけとなります。
1956年に古い建物は完全に取り壊され、現在は新しい近代的な蒸留所として運営しています。

ベンリネスの特徴は、1966年から2009年まで一部3回蒸留を行っていたことで、その複雑な蒸留システムはモートラックの2.81回蒸留と呼ばれるものと似ていると言われており、「ディアジオの異端児」などと呼ばれていました。現在は2回蒸留に戻されています。
また蒸留のスピードが非常に早く、そのため銅とのコンタクトが少なくなること、さらにミドルカットの下限が低いことが上げられます。
これらの特徴は、重い酒質になり、味わい的にもサルファリーやミーティなどと言われる重厚感を生み出すと言われ、他の蒸留所と大きく違う味を作り出すことでブレンドする際の味の多彩さを目指しています。それらの特徴も含めて「異端児」と言われていると言えます。
しかし、重厚感だけではなく、フルーティーで複雑なアロマやフレーバーも持ち合わせており、単体で飲んでも非常に美味しいものが多く、オフィシャル品がほとんどリリースされない蒸留所ですがボトラーズからのリリースでそれらの味わいは楽しめます。

 

4. ベンリネスのラインナップ

ベンリネス 2010 11年 アーティストコレクティヴ

ベンリネス 2010 11年 アーティストコレクティヴ

ラ・メゾンドウイスキーからリリースされる、現代アート作家にラベルデザインに依頼するアーティストコレクティヴシリーズ。
ファーストフィルのシェリーバットで追加熟成されたボトルで、ベンリネスの特徴と言われる重厚感、サルファリー感がシェリーカスクによりさらに強調されて非常に飲みごたえのあるボトルです。

 

ベンリネススコッチモルトウイスキーソサエティ

スコッチモルトウイスキーソサエティ 36.84 Taking tea on the terrace

1989年蒸留21年熟成でバーボンホグスヘッド熟成のボトル。
ベンリネスの重厚なフレーバーと言われるものよりはどちらかというとかなりフルーティなフレーバーの強い1本。ベンリネスのもう一つの顔がよく現れているボトルです。

 

ベンリネスSMWS

スコッチモルトウイスキーソサエティ 36.109 The carm before the bake sale

2002年蒸留13年熟成でバーボンバレル熟成のボトル。
こちらもどちらかというとフルーティ系の1本。レモンやオレンジなどの柑橘系の香りが特徴で後半にやや重みのあるフレーバーが出てきます。
ソサエティはベンリネスのフルーティな一面が好きなのかもしれません。

 

5. ベンリネスの年表

1826年 ピーター・マッケンジー氏によりホワイトハウス農場にライン・オブ・ルースリー蒸留所が建設される
1829年 洪水により蒸留所が破壊され、ジョン・イネス氏によって最初の蒸留所から数キロ離れた場所に新しい蒸留所が建設される
1834年 ジョン・イネスが破産申請を行い、ウィリアム・スミス社が買収
1864年 ウィリアム・スミス社が破産し、ダヴィッド・エドワード氏が新しいオーナーとなる
1896年 蒸留所が火災の被害にあい、大規模な改修を余儀なくされる。アレックス・エドワードが蒸留所を引き継ぐ
1922年 ジョン・デュワー&サンズ社が蒸留所を買収
1925年 ジョン・デュワー&サンズ社がDCLの傘下になる
1956年 蒸留所が完全に改築される
1964年 フロアモルティングを辞め、サラディンボックス式に変更
1966年 蒸留器を3基から6基の増設
1984年 サラディンボックスでの製造を停止し、モルトを外部からの集中購入に変更
1991年 最初のオフィシャルボトルとして、花と動物シリーズ15年熟成をリリース
1996年 レアモルトシリーズとして、21年カスクストレングスを発売
2009年 23年熟成をその年のスペシャルリリースとして発売
2010年 マネージャーチョイス1996を発売
2014年 21年熟成限定ボトルを発売

 

Wataru Kobayashi 小林渉

Vision Whisky Bar ヴィジョン
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