グレンスコシア蒸留所 スコッチモルトウイスキー解説評価 / 吉祥寺 Vision

2022/09/06

グレンスコシア

グレンスコシア蒸留所について、徹底解説していきます。

 

グレンスコシアの地理

生産国:スコットランド
地域:キャンベルタウン

 

グレンスコシア蒸留所データと蒸留設備

所有者:ロッホローモンド社
設立年:1832年
年間生産能力:80万リットル
仕込水:クロスヒル湖、蒸留所の井戸水
糖化槽:2.8トン
発酵槽:ステンレス9基
蒸留器:初留1基、再留1基
熟成庫:

 

グレンスコシアの解説

所有者:ロッホローモンド社
グレンスコシアはキンタイア半島の先端にあるキャンベルタウンにある蒸留所です。
キャンベルタウンは19世紀後半には30近い蒸留所が狭い街のなかにひしめき合っていたというウイスキーの一大生産地でした。
キャンベルタウンが栄えた理由は、大麦の生産地であること、石炭の鉱脈があったこと、天然の良港に恵まれていたことなどがあげられます。
しかし石炭は彫り尽くされ、海運が時代遅れになり、そこに輪をかけてアメリカ禁酒法時代に粗悪なウイスキーを大量に密輸していたこともありキャンベルタウンのウイスキーの評価が一気に下がり、その後多くの蒸留所が閉鎖、現在では、スプリングバンク、グレンガイル、そしてグレンスコシアの3つしか残っていません。

グレンスコシアは1832年創業の蒸留所です。
1895年にオーナーになったダンカン・マッカラムがウェストハイランドモルトディスティラリーに蒸留所を売却、そしてウェストハイランドモルト社が倒産したタイミングでダンカン・マッカラムが再度買い戻すと言う形で、グレンスコシア蒸留所を維持しようとしますが、1930年に借金苦で蒸留所を閉鎖、キャンベルタウンロッホに投身自殺してしまうという悲劇がおこります。
未だに蒸留所に彼の幽霊が出るという噂もあります。

1980年に改修工事がなされた後、本格的に操業再開し、現在はロッホローモンド社が所有、オーナーは2019年から中国の投資会社のヒルハウスキャピタルマネジメント社となっています。
操業再開に際し、ロッホローモンド社は地元のスプリングバンクの技師に依頼して最初蒸留を再開、その後ロッホローモンド自身のスタッフに移管するという形をとりました。

グレンスコシアの仕込みはワンバッチ2.8トンで小ぶりな蒸留所。
発酵槽はステンレスが9基で発酵時間が128時間とかなり長めとなっています。
ピートの麦芽での仕込みは年間4週間でそれ以外はノンピートを使用。ピートは19ppmと25ppmの2種類を使用しています。

 

グレンスコシアのラインナップ

スコッチモルトウイスキーソサエティ93

スコッチモルトウイスキーソサエティ 93.103 Last of the summer grime

「夏の最後のすす」という名前のソサエティのボトル。
香りは軽いピート、やや塩気やペッパーが強く感じる他、麦芽の甘さをしっかり感じ、やや古びたオールドボトルの雰囲気。
味わいは、第一印象は塩気と甘さのバランスが非常に良いこと、白檀のような線香とワックスのようなケミカルな風味。そこにあとからキャラメルのような甘さが追いかけてきます。

 

スコッチモルトウイスキーソサエティ93

スコッチモルトウイスキーソサエティ 93.140 Tour de force

「傑作」と名付けられたソサエティのボトル。
香りの第一印象はやや軽めのピート、スモークソーセージのようなスモークとオイリーさがあり、その後洋梨やりんごのような香りが来ます。
味わいは塩気とフルーティなフレーバーの相乗効果があり、またポート樽由来のやや強めの甘さがあとから来ます。

 

グレンスコシアの年表

1832年 スチュワート家とガルブレイス家により蒸留所創業
1895年 ダンカン・マッカラム氏に蒸留所を売却
1919年 ウェストハイランドモルトディスティラー社が買収
1924年 ウェストハイランドモルトディスティラー社が倒産し、ダンカン・マッカラムが買い戻す
1930年 蒸留所閉鎖、ダンカン・マッカラムが自殺
1933年 ブロッホブラザーズ社が買収、蒸留再開
1954年 ハイラムウォーカー社が買収
1955年 A.ジリーズ社が新しいオーナーとなる
1970年 A.ジリーズ社がアマルガメットディスティルドプロダクトの一部となる
1979年 改修工事実施
1984年 蒸留所閉鎖
1986年 アマルガメットディスティルドプロダクト社がギブソンインターナショナルに買収される
1989年 蒸留再開
1994年 グレンカトリーンボンデッドウェアハウス社が買収、蒸留所閉鎖
1999年 ロッホローモンド社の監督のもと、スプリングバンクの技師を使って蒸留再開
2000年 ロッホローモンド社が自身のスタッフにより蒸留開始
2005年 12年熟成を発売
2006年 ピーテッドを発売
2012年 新しいオフィシャルレンジ(10年、12年、16年、18年、21年)を発売
2014年 10年と、熟成年数表記なし(両方ヘビリーピーテッド)を発売
2015年 新しいオフィシャルレンジ(ダブルカスク、15年、ヴィクトリアーナ)を発売
2017年 25年熟成、18年熟成を免税店向けに発売
2019年 ヒルハウスキャピタルマネジメントに蒸留所を売却。2003年蒸留を発売、45年熟成を発売
2021年 46年熟成を発売

 

Wataru Kobayashi  小林渉

Vision  Whisky bar 吉祥寺
0422-20-2023
Google Map  武蔵野市吉祥寺本町1-11-8 耶馬ビルB1
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