ロイヤルロッホナガー蒸留所 スコッチモルトウイスキー解説評価 / 吉祥寺 Vision

ロイヤルロッホナガー蒸留所について、徹底解説していきます。

1. ロイヤルロッホナガーの地理
2. ロイヤルロッホナガー蒸留所データと設備
3. ロイヤルロッホナガーの解説
4. ロイヤルロッホナガーのラインナップ
5. ロイヤルロッホナガーの年表

1. ロイヤルロッホナガーの地理

生産国：スコットランド
地域：ハイランド

2. ロイヤルロッホナガー蒸留所データと設備

ロイヤルロッホナガー蒸留所データ・蒸留設備
所有者：ディアジオ社
設立年：1845年
年間生産能力：50万リットル
仕込水：ロッホナガー山の泉
ワンバッチ：5.4トン
発酵槽：カラ松2基
蒸留器：初留1基、再留1基
熟成庫：1000樽のみ蒸留所で熟成。ほかはグレンロッシーで熟成

3. ロイヤルロッホナガー解説

ロイヤルロッホナガー蒸留所はディー川の上流域にあります。
ディー川上流域は英王室の夏の離宮バルモラル城があることから、別名ロイヤルディーサイドと呼ばれています。
地元のジョン・ベッグが蒸留所を建てたのは1845年ですが、海外の資料を見るとその前にジェームズ・ロバートソンが蒸留所を2度に渡り建設されていますが、火災により焼失しています。
ロッホナガーとは、ディー川沿いで一番高い山（標高1156メートル）の名前で、ゲール語で「岩の露出した湖」の意味があります。
ジョン・ベッグが蒸留所を建てた3年後の1848年に、ヴィクトリア女王が隣のバルモラル城を書い、夏の離宮としたことから、早速蒸留所の見学に来ませんかと打診。
翌日の夕方になんの前触れもなく女王一家が蒸留所を訪れ、ベッグの案内で見学をしたそうです。その蒸留所訪問から数日後、「王室御用達」を許可するロイヤルワラントが届けられました。
それ依頼、蒸留所の頭に「ロイヤル」をつけて、ロイヤルロッホナガーと呼ばれる様になりました。
実際に、ヴィクトリア女王はロッホナガーのモルトがお気に入りで、極上のボルドーワインにロッホナガーを数滴入れて飲んだと言われています。

ロイヤルロッホナガーの仕込みはワンバッチ5.4トンで、マッシュタンはオープンスタイルのブラウ＆レイキ。
発酵槽はカラ松製が2基のみで、蒸留器も初留再留1基ずつ。
1週間で製造できる量はわずか35樽しかなく、蒸留所にはそのうち1000樽を置いて、残りはグレンロッシーで熟成されているそうです。
これはディアジオが所有する31の蒸留所でも最小の生産量となっています。

リリースされているモルトはオフィシャルの12年とセレクトリザーブのみで、9割以上がブレンデッド用となっており、それも韓国市場でナンバーワンのブレンデッドスコッチのウィンザーのキーモルトとなっています。
ウィンザーは2014年に韓国市場で840万本を売り上げましたが、その後は低迷、現在は30％ほど販売量がダウンしています。韓国では現在アルコール度数によって課税される従量税に変わっていて、その際に「ウインザー・ロッホナガー」というアルコール度数35％のボトルがリリースされています。
ロッホナガーの名前が入っていますが、中身はブレンデッドです。

4. ロイヤルロッホナガーのラインナップ

ロイヤルロッホナガー 12年

一番スタンダードなロイヤルロッホナガー。
よく「グラシー」と表現される若い草っぽい香りが特徴の、少し甘さ控えめで爽やかなフレーバーがあります。

5. ロイヤルロッホナガーの年表

1823年　ジェームズ・ロバートソンがディー川の北岸のグレンファーダンに蒸留所を創業
1826年　蒸留所が競合他社により焼かれてしまうが、ロバートソンはロッホナガー山の近くに新しい蒸留所を建設することを決める
1841年　この蒸留所も焼失
1845年　ジョン・ベッグによりディー川の南岸に新しい蒸留所が建設される。蒸留所名はニューロッホナガー。
1848年　ロッホナガーがロイヤルワラントを得る
1882年　ジョン・ベッグが亡くなり、息子のヘンリー・ファークハースン・ベッグが引き継ぐ
1892年　ヘンリー・ファークハースン・ベッグが亡くなる
1906年　ヘンリー・ベッグの子供が蒸留所を再建築
1916年　ジョン・デュワー＆サンズ社が蒸留所を買収
1925年　ジョン・デュワー＆サンズ社がDCLの傘下に入る
1963年　大型改修工事を実施
2004年　1974年蒸留30年熟成カスクストレングスをレアモルトシリーズで6000本限定発売
2008年　ディスティラーズエディションモスカテルフィニッシュを発売
2010年　マネージャーズチョイス1994を発売
2013年　トリプルマチュアードエクスプレッションをフレンズオブクラシックモルトで発売
2016年　ディスティラリーエクスクルーシブ　ノンエイジを発売
2019年　ゲーム・オブ・スローンズコラボレーションボトル　ハウスバラシオンを発売
2021年　16年熟成レアバイネイチャーを発売
2022年　40年熟成プリマ＆ウルティマを発売

Wataru Kobayashi 小林渉

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