タムドゥ蒸留所　スコッチモルトウイスキー解説評価 / 吉祥寺 Vision

タムドゥ蒸留所について、徹底解説していきます。

• タムドゥの地理
• タムドゥ蒸留所データと設備
• タムドゥの解説
• タムドゥのラインナップ
• タムドゥの年表

1. タムドゥの地理

生産国：スコットランド
地域：スペイサイド

2. タムドゥ蒸留所データと設備

所有者：イアンマクロード社
設立年：1897年
年間生産能力：400万リットル
仕込水：ノッカンドオ川、蒸留所の下の泉
ワンバッチ：11.8トン
発酵槽：オレゴンパイン9基
蒸留器：初留3基、再留3基
熟成庫：

3. タムドゥの解説

タムドゥ蒸留所は1897年創業の蒸留所。この時期、ウイスキーブームが追い風となったこと、ストラススペイ鉄道の開通などによりスペイ川中流域に立て続けに3つの蒸留所がオープンしています。そのうちの一つがタムドゥです。
蒸留所の語源はゲール語で「黒い丘」を意味する言葉で、タムドゥの位置するこの地域は良質な水に恵まれ「密造者の谷」と呼ばれてきた場所です。
創業者はウィリアム・グラント（グレンフィディックのグラントとは別人）でエルギンの銀行家でもあり、またハイランドディスティラリー社（現在のエドリントングループ）の役員でもありました。
蒸留所の経営は順調ではなく、1911年に休止、その後休止再開を繰り返し、1948年に蒸留所再開。1950年に蒸留所が新しく建て替えられ、このときにフロアモルティングからサラディンボックスに製麦施設が切り替えられました。
サラディンボックス式とは、19世紀後半にフランスのサラディン氏によって考案されてたもので、大きい部屋の床を四角に区切り、そこに大麦を入れて下から空気を送って撹拌する方式で、従来の方法より生産効率が上がり、また経済的でした。タムドゥには10基のサラディンボックスがあり、それぞれが22トンの大麦を仕込むことができたそうですが、現在は使用されていないそうです。
タムドゥのワンバッチの仕込みは11.8トンで発酵槽はオレゴンパインが9基、蒸留器は6基で、年間400万リットルを製造していますが、ほとんどがブレンデッド用の原酒として使用されています。

シェリー樽熟成に非常に拘りを持っており、オフィシャルボトルは基本100％シェリー樽となっています。

4. タムドゥのラインナップ

Tamdhu 2006-2020 Three rivers
タムドゥ 2006−2020 スリーリバーズ

タムドゥの日本の正規輸入代理店契約をスリーリバーズが結んだことから、スリーリバーズ向けに特別にボトリングされたもの。
ヨーロピアンオークのファーストフィルシェリーカスクで熟成され、非常に濃厚で渋みも感じるボトルで、開封当初は渋みの強さが際立っていたのですが、開封後しばらく経ったあたりから渋みが収まり麦芽の甘さも出てきています。

5. タムドゥの年表

1896年　ウィリアム・グラントがプロモーターのウイスキーのブレンダー共同体であるタムドゥディスティラリーカンパニーにより蒸留所創業。蒸留所の設計はチャールズ・ドイグ。
1897年　7月に最初の樽の仕込みを実施
1898年　1896年より共同体のメンバーとなり、マネジメントポジションにあったハイランドディスティラリーカンパニーがタムドゥディスティラリーカンパニーを買収
1911年　蒸留所休止
1913年　蒸留所再開
1928年　蒸留所閉鎖
1948年　7月に蒸留所再開
1950年　蒸留所再建築の際に、フロアモルティングをサラディンボックスに入れ替え
1972年　蒸留器を2基から4基に増設
1975年　更に蒸留器を2基増強
1976年　8年熟成をシングルモルトとして発売
2005年　18年、25年を発売
2009年　蒸留所閉鎖
2011年　エドリントングループが蒸留所をイアンマクロードに売却
2012年　蒸留再開
2013年　10年熟成を新しいオーナーでの最初のオフィシャルボトルとして発売
2015年　タムドゥ　バッチストレングスを発売
2017年　50年を発売
2018年　12年、15年、Dalbealle Dramを発売
2019年　アンバー、グランレゼルバ・ファーストエディションの2種を免税店向けに発売
2020年　イアン・ホワイトクロス　シングルカスクとシガーモルトを発売
2021年　クエルクスアルバ　ディスティンクションを発売
2022年　タムドゥ　クラブ　シングルカスク、タムドゥ　ディスティンクション2を発売

Wataru Kobayashi 小林渉

Vision Whisky Bar ヴィジョン
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