2023/12/03
当店ヴィンサントは、入口のウイスキーショップのボトル棚が隠し扉となっている、アメリカ禁酒法時代に流行した、スピークイージーというスタイルの隠れ家バーです。
店名にもなっているイタリア・トスカーナ州のヴィンサントを中心に、世界各国・様々なタイプの甘口デザートワインを取り揃えており、常時ガラスで10種類以上の甘口ワインを楽しむことが出来るのも当店の特徴です。
今回は、クリスマスに飲みたい甘口デザートワインをご紹介致します。
ヴィンサントとはイタリアの甘口デザートワインの一種で、聖なるワインという意味の名前を持つトスカーナ州を代表する食後酒として楽しまれています。
主にトレッビアーノやマルヴァジアといった白葡萄を使用して作られますが、中にはサンジョヴェーゼなどの黒葡萄から作られるヴィンサントもあります。
そして使用する葡萄は風通しの良い場所で、麦わらの上に並べたら垂木に吊るしたりして陰干し、乾燥させます。これによって葡萄はレーズンのような状態となり水分が抜けて糖分が凝縮されるのです。
つまり、通常の葡萄よりもワインとなる為のエキス分が非常に少なくなる為一本のワインを作る為にも通常のワインよりも数倍以上の葡萄が必要になります。
更に糖分が高いワインの発酵は難しく、最低でも3年の熟成期間が必要となります。
生産者によっては5年10年と熟成させることも珍しくなく、とても手間暇とコスト、時間を必要とする貴重なデザートワインがヴィンサントというお酒なのです。
生産者によっては元々は自家需要や贈答用のみで仕込んでいたりと商業用で作っていないことも多く、生産本数の少なさと輸出量の少なさから日本では特に珍しいワインかも知れません。
デザートワインは他にも種類があるのか?
ではヴィンサント以外にも甘口のデザートワインはあるのでしょうか?
もちろん、世界中の国々で様々なタイプの甘口デザートワインを作っています。
大きく分けると以下のようなタイプに分類できます。
【貴腐ワイン】
貴腐菌というカビ菌を使い育てた葡萄から作られる甘口ワイン。
甘さのほかにカビ由来の複雑で独特な香りと風味があり世界中にファンの多い有名なデザートワインです。
最も有名なのはフランス ボルドーのソーテルヌ、ハンガリーのトカイ・エッセンシア、それにドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼがありますね。
【アイスワイン】
その名の通り葡萄を凍らせてシャーベット状にして糖度を高める製法の甘口ワイン。
カビ菌を使用していないのでピュアでクリアな甘さが楽しめます。
ドイツ、カナダがアイスワインの有名な産地です。
【遅摘みワイン】
通常の葡萄収穫時期よりも遅らせて収穫することで、熟して糖度の上がった葡萄となっているものを使用して作られる甘口ワイン。
貴腐やアイスワインに比べると特別な製法などを必要としないので比較的リーズナブルに楽しめる銘柄が多いですね。
モンキエロカルボーネはイタリア、ピエモンテ州の作り手で白ワインから赤ワインまで様々な畑を所有しており幅広いラインナップを誇ります。
ライオンのマークのラベルデザインが特徴的で、当店でも昔から愛用しているワイナリーです。
こちらはそんなモンキエロカルボーネの中でも非常にレアな甘口ワイン、マスカット品種を陰干しで作るパッシートです。
陰干しならではの枯れたニュアンスと凝縮感、甘さと酸味のバランスが素晴らしい一本。
昨年の2022年に約5年ぶりの日本入荷を果たしたパスザクッキーズ。
作り手のレナルド家は1800年初頭から始まる歴史あるワイナリーですが、飛躍したのは約10年前と非常に最近のことなんだとか。
大改革を行い、レナルド家の畑で1番多かったブドウ品種を研究し、厳選して栽培。さらにブドウの品質を高めるために収量を調整、その結果、ワインの個性、品質ともに飛躍的に向上しました。
その名の通り、焼き菓子のような軽快な甘さと香ばしさが特徴的。デザートワインビギナーの方にもまずはオススメの一本です。
こちらはオーストラリア、西オーストラリア州マーガレットリヴァーの貴腐ワイン。
葡萄はセミヨンを100%使用、こちらはフランスの銘醸地ボルドー発祥の白葡萄ですね。
自社畑で貴腐のついたセミヨンのみを手摘み、24日間発酵、フレンチオーク樽で20カ月熟成と非常に手間暇かけて丁寧に作られる甘口ワイン。
ドライアプリコット、イチジク、蜂蜜などのニュアンス、ブルーチーズとの相性が素晴らしいです。
こちらはちょっと珍しい、スロバキアのデザートワインです。
トカイワインと言えば、ハンガリーが非常に有名ですね。
伝統的なトカイワインの葡萄フルミントを中心にブレンド、若々しくフレッシュな甘口の貴腐ワインです。
サモロドネは自然のまま、という意味で収穫後に貴腐化した葡萄を選別する工程を経ずに醸造に入ります。
甘口ながらも酸が生き生きとしておりシャープなミネラル、引き締まったデザートワイン。
コヤマワインズは日本人醸造家・小山竜宇さんがニュージーランドにて2009年に設立したワイナリー、ラベルに描かれているドラゴンのエチケットは竜宇さんの名前からとったそう。
日本人が遠くニュージーランドの地でワイン作りを行っているなんてなんとも感慨深いですよね。
実はニュージーランドで活躍する日本人醸造家は小山さんだけではなく、クスダワインズの楠田さん、サトウワインズの佐藤さん、キムラセラーズの木村さんと実は沢山の日本人醸造家がニュージーランドでワインを作っているんです。
興味のある方は是非こちらもチェックしてみてくださいね。
こちらのノーブルリースリングは甘口のデザートワイン、白い花やジャスミンなどのフローラルなアロマが上品な香り。
繊細で凝縮感のある果実味、酸味がバランスよくスッキリと楽しめるデザートワインです。
少し冷やしても美味しいですね。