芸術とは / 赤坂見附 Algenon Syn.

2015/10/23

イギリスで大盛況を博した「春画展」が9月19日から江戸川橋で開催されています。

お客様の中にも、「行ってきた」という方がパラパラと。

皆が口をそろえて言うのは、混みすぎていてゆっくりとみられなかった、ということ。

賛否両論ある春画。

しかし少なくとも国民の多くが興味関心をよせているということですよね。

先日当店のカウンターでも、そんな話題になりました。

ある人は「みんな下ネタ好きだよな」と、ある人は「観覧を禁じられていた芸術品を見てみたい」と、やはり価値観が全く異なっているようですね。

芸術って一体なんなのでしょう?

春画は芸術?それともわいせつなのか。

皆様はどう思われますか?

実はこの春画展、これまではスポンサー獲得に苦労するなどの苦難を強いられていました。

春画は、性的な描写が露骨に描かれているといったこともあり、刑法上の「わいせつ」物にあたる懸念があったためです。

「わいせつ」の定義って何でしょう?

抽象的で分かりにくい言葉ですが、判例では「いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」とされています。

この判断にあたっては、作品の芸術性などの社会的価値も踏まえて、全体的・相対的にみて、主として見る者の好色的興味に訴えるものと認められるかどうかを考えます。

裁判の場で、春画にわいせつ性はないという判断がされたこともあります。

成人向け漫画のわいせつ性が争われ、問題となった漫画と比較するために、春画が証拠として提出されたものですが、裁判所は「春画は、著名な浮世絵作家の作品として、あるいは懐古趣味に応える歴史的文物として、興味を抱かせるものであり、専ら読者の好色的興味に訴えるものとはいえない」としました。

しかし一方で、「この裁判例は一般論として語られているに過ぎず、あらゆる春画が、わいせつでないと言い切れるわけではありません」
と指摘する声も。

春画は浮世絵という芸術だから問題はない、といった単純な話にはならないようです。

ただ、春画は浮世絵という描き方が特徴的な絵画で、写実的な描写の要素は大きくありません。

特に、著名な画家の作品ということにもなれば、その芸術性の高さも社会的に承認されていると言えますし、わいせつ性は認められないことが通常である、と判断されたことで、今回の春画展日本開催に繋がったということでしょうか。

本当に難しい問題です。

芸術かわいせつか、この議論は、永遠に終わることはないでしょうし、絶対的な正解もありません。

そもそも、日本だけでなく世界的にも、著名な芸術作品は、全裸のものが多いですよね。

それらは間違いなく、芸術品なのですが。

なんか美術館に行きたい気分になります。

近々、現在開催中のモネ展に足を運びたいなと。(^^)

 

芸術の秋ですね。

絵を見てお酒を飲んで、秋の夜長を楽しみましょう( ̄▽ ̄)

 

Takayo Mano

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