グレンタレット蒸留所 スコッチモルトウイスキー解説評価 / 吉祥寺 Vision

2023/07/26

グレンタレット

グレンタレット蒸留所について、徹底解説していきます。

 

 

1. グレンタレットの地理

生産国:スコットランド
地域:ハイランド

 

2. グレンタレット蒸留所データと設備

所有者:ラリックグループ社
設立年:1775年
年間生産能力:34万リットル
仕込水:タレット湖
ワンバッチ:1.05トン
発酵槽:ダグラスファー8基
蒸留器:初留1基、再留1基
熟成庫:

 

3. グレンタレットの解説

グレンタレット蒸留所は1775年創業の蒸留所とされていますが、Malt whisky year bookでは1763年創業とされています。これは、蒸留所自体が密造時代に同じ場所で別の名前の蒸留所が稼働していた、近隣の蒸留所がグレンタレットと名乗っていた、ホッシュ蒸留所がグレンタレット蒸留所に名前を変え、現在に至っているという経緯があり、ホッシュ蒸留所の創業年である1775年を採用している土屋守氏と、その周辺の蒸留所も含めての経緯から1763年としているMalt whisky year bookの差と思われます。

グレンタレット蒸留所は創業後も何度もオーナーが代わり、1929年には一度解体されていますが、1957年にジェームズ・フェアリーが再建しています。

仕込みはワンバッチ1.05トンと少なく、マッシュタンは旧式なオープンスタイル、レイキなどの撹拌機はついておらず、職人が木の棒でかき回すという昔ながらのスタイルで糖化を行います。発酵槽はダグラスファー8基で蒸留器は初留、再留の1基ずつのみとなっています。
製造されたウイスキーはほとんどがフェイマスグラウス用の原酒として使われており、シングルモルトではほとんどリリースされていませんが、2018年にエドリントングループが蒸留所の売却を発表、2019年にスイスに本拠地を構える高級クリスタルや宝石メーカーののラリックグループが買収、リブランディングが行われ、シングルモルトのリリースも今後多くなっていくと思われます。
ラリックが買収したことと、新しく、元マッカラン蒸留所のボブ・ダルガーノ氏がブレンダーに就任したことで注目されています。

グレンタレット蒸留所で有名なエピソードは、タウザーと呼ばれる猫で、23年11ヶ月の生涯で2万8899匹のネズミを捕まえたということで、ギネスブックにも登録されています。
蒸留所で飼われている猫を「ウイスキーキャット」と呼び、ネズミから麦芽を守る役割をおこなっていた中でも最多の記録となっています。また、タウザーはネズミだけではなく野ウサギやキジまで獲って食べていたそうです。
1987年3月20日に亡くなったのですが、その際には死亡記事が新聞に載ったそうです。
蒸留所には銅像が建てられていますが、現在グレンタレットはフェイマスグラウスのビジターセンターがあり、雷鳥のマークに押されて影が薄くなっています。

 

4. グレンタレットのラインナップ

ルードモア 2010 12年 A.D.ラトレー for 3R

 

Ruadh Mhor 2010 12y A,D.Rattray for 3R
ルードモア 2010 12年 A.D.ラトレー スリーリバーズ

1868年創業の老舗ボトラーズのA.D.ラトレーと日本の高品質ボトラーズとして名高いスリーリバーズのコラボレーションボトル。
ルードモアとはグレンタレット蒸留所で作られるヘビリーピーテッドで、今回のリリースでのフェノール値は情報はないですが、以前聞いた話ではグレンタレットのヘビリーピーテッドは 80ppm 前後で作られているとのことで、アードベッグより高いフェノール値となっています。
アイラ島のピートではなくスコットランド本土のピートのため、ずっしりと重いスモーク感があり、飲みごたえのあるボトルです。

 

5. グレンタレットの年表

1763年 Thurotという名前の蒸留所が現在のグレンタレット蒸留所の場所で創業
1818年 ジョン・ドラモンドが1837年まで蒸留免許を取得
1826年 近隣の蒸留所がグレンタレットと名乗っていたが、1852年以前に閉鎖
1852年 ジョン・マッカラムが1874年まで蒸留免許を取得
1875年 ホッシュ蒸留所がグレンタレット蒸留所の名前を引き継ぎ、トーマス・スチュワートが経営
1903年 ミッチェルブラザーズ社が蒸留所を買収
1921年 製造中止。建物はウイスキーの貯蔵のみに使われる
1929年 ミッチェルブラザーズ社が倒産、精算され、蒸留所は解体、施設は農業用倉庫として使用される
1957年 ジェームズ・フェアリーが蒸留所を購入、蒸留所を作り直す
1959年 蒸留再開
1981年 レミーコアントローが蒸留所を買収、ビジターセンターを建設
1990年 ハイランドディスティラー社が蒸留所を買収
1999年 エドリントン社とウィリアム・グラント&サンズ社がハイランドディスティラー社を6億100万ポンドで買収、購買会社である1887カンパニーはエドリントン70%、ウィリアム・グラント30%の合弁会社

2002年 総工費250万ポンドのビジターセンター「フェイマスグラウス・エクスペリエンス」が完成
2003年 スタンダードラインナップを10年熟成から12年熟成に置き換え
2007年 3種のシングルカスクを発売
2013年 18年熟成カスクストレングスをディスティラリーエクスクルーシブとして発売
2014年 1986シングルカスクを発売
2015年 シェリー、トリプルウッド、ピーテッドを発売
2016年 フライズ16マスターズを発売
2017年 キャメロンズカット、ジェイミソンズジガーエディション、ピーテッドドラモンドエディションを発売
2019年 ラリックグループ、ハンスヨルグ・ヴィスが蒸留所を買収
2020年 新しいコアレンジを発売
2021年 グレンタレット・ジャガーEタイプを発売

 

Wataru Kobayashi 小林渉

Vision Whisky Bar ヴィジョン
吉祥寺/東京都武蔵野市吉祥寺本町1-11-8 耶馬ビルB1
0422-20-2023
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