イタリアのデザートワイン ヴィンサントを飲んでみよう! / 恵比寿 VinSanto

2020/03/22

恵比寿のヴィンサント

当店ヴィンサントは看板のない隠れ家BARでありますが、実は外観をよく見て頂くと VinSanto の文字が光っています。
そう、当店の名前ヴィンサントはVinSantoと綴ります、これはイタリアで作られる甘口デザートワインの名前から取っています。
ではヴィンサントとはどんなワインなのでしょうか?
今回は、その解説とオススメの銘柄、その他のデザートワインについてです。

 

 

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1. 世界中にある甘口ワイン

ヴィンサントのワイン棚

まずは、ヴィンサントを含めた甘口のワイン、いわゆるデザートワインについて簡単に解説していきましょう。
主に食後などに楽しまれるデザートワイン、その製法や作られる国によって様々なタイプがあるんです。

【貴腐ワイン】
「ボトリティスシネレア」という貴腐菌をつけ、果実の脱水促進と蜂蜜やアプリコットに似た独特の貴腐香をワインにもたらすのが貴腐ワイン、フランスのソーテルヌやハンガリーのトカイが特に有名ですが、実はドイツやオーストリア、そして日本やニューワールド各国でも高品質の貴腐ワインは造られています。
デザートワインの中でも、知名度や品質から、まず抑えておくべきが貴腐ワインと言えるでしょう。

【アイスワイン】
貴腐ワインと同様に有名なのが、氷結した葡萄から作られるアイスワインです。
-7C°を下回る気温環境で収穫された葡萄は水分が凍結し、糖や溶質の成分が濃縮され甘いワインが出来上がります。
ドイツのアイスヴァイン、カナダ産のアイスワインが、世界中で広く出回り人気を集めています。
他にもアメリカ、オーストリア、クロアチア、チェコ、スロベキア、ニュージーランドなど、気候条件の適合する国で、少量ながら生産されています。

【ストローワイン】
こちらは干しぶどうから作られるワインで、古くは藁(ストロー)の上で葡萄を風乾したことからこの名が付いたそうです。
ヴィンサントは、このストローワインの中にはいります。
トスカーナのヴィンサントをはじめ、イタリアでは、広く高品質なストローワインが造られていますが、フランスのジュラ、ローヌ、アルザス近辺のヴァン・ドゥ・パイユも有名。近年ではアメリカや南アフリカでも類似したワインが出てきています。

【酒精強化ワイン】
醸造過程でアルコールを添加、アルコール度数を高めると同時に糖分を残したワインがこちら。酒精強化ワインというとちょっと耳馴染みがないかもしれませんが、シェリー酒等がこれにあたります。
極甘口のペドロヒメネス種は、高糖度でまさに飲むデザートといった趣、他にもフランスのヴァン・ドゥ・ナチュレ等も古くから造られています。

 

デザートワインにおいて、代表的なカテゴリだけを抜粋、大分しました。
ここから、いよいよ私達が愛するヴィンサントについて触れていきましょう。

 

2. ヴィンサントってなんだ?

バッディアディモローナ

ヴィンサントとは、一言で言えば「イタリアのトスカーナ州で、糖度を高めた陰干し葡萄を使って造られる甘口デザートワイン」です。
Vin=ワイン、Santo=セイント、つまり、聖なるワイン、という意味の名前が付けられています。
名前の由来は諸説あるそうですが、有力なのは甘口のワインを選ぶことの多いカトリック教会のミサにおいてこのワインが使用されてきたという歴史からくるというもの。
最も古いヴィンサントの起源としては、ルネサンス期のフィレンツェのワイン商の販売記録にその名が残っているそうで、非常に歴史のあるワインと言えますね。

ヴィンサントは、9〜10月に収穫した葡萄を藁の上で寝かせ、しっかりと水分を蒸発させて、果実内の糖分を凝縮させていきます。
その乾燥の時間が長ければ長いほど、出来上がるワインの残糖は高くなり、造りたいワインの味わいに合わせ、てその期間や発酵過程、葡萄果実を破砕するなど方法を変えていくそうです。
発酵を経た後は、小型の樽で熟成させていきます。
原産地呼称 D.O.C 認定地区の多くでは、最低でも3年以上の熟成が必要ですが、生産者によっては5〜10年熟成させることも珍しくはないそうで、他の甘口ワインではなかなかない熟成期間です。

そうやって、長い熟成と手間暇を掛けられて作られたヴィンサントは、琥珀色に輝きナッツやレーズン、蜂蜜やクリームのような風味の甘さを持ったワインに仕上がります。
イタリアでは、伝統的な焼き菓子のビスコッティと共に楽しまれ、ヴィンサントに浸して食べますが、これがまさに絶品なんです。

 

3. ヴィンサントのここがスゴイ!

カッペツァーナ

「ヴィンサントがどんなワインなのかはわかったけど、何がそんなに凄いワインなの?まだピンとこないよ」
という方のために、ヴィンサントが一般的なワインと何が違うのか、どうすごいのかという話を少々。

そもそも、ヴィンサントにあまり馴染みがないって方が、ほとんどではないでしょうか?
貴腐ワインやアイスワインは聞いたこと、飲んだことがあるよという方は多いんですが、ヴィンサントは知らないとよく言われます。

ヴィンサントは、そもそもの生産量がとても少ないワインな上に、イタリア国内で消費される量が多く、輸出されるボトルは限られています。
後述しますが、デザートワイン自体が、そもそも収穫量が少なく、生産に手間がかかるのに加え、ヴィンサントは、長い熟成期間を要するので、造ってすぐに売れるわけでもない。
そうなると、ワイナリーによっては、自家需要や、顧客への贈答用、地域のリストランテへの供給のためだけに造るのが丁度いいとなるわけです。

その希少性を分かりやすく伝えるエピソードをもうひとつ。
ヴィンサントは陰干しした葡萄、つまり水分の抜けた葡萄を使うので、圧搾して得られるエキスが非常に少なくなります。
レーズンを絞ってもジュースがなかなか出ないと考えると分かりやすいですね。
ヴィンサント1本をつくるのに必要な葡萄量は、通常のワインの約8倍。
さらに、ハーフボトルへの瓶詰が多く、同じ量をボトリングするには通常行程の倍を要する、なんとも贅沢なワインと言えるでしょう。

さあ、そろそろヴィンサントを飲みたくなってきましたよね?

 

4. ヴィンサントのおすすめ銘柄

レチナイオ

さあ、ヴィンサントがどんなワインかわかったら、実際に飲みたいですね!

当店では、約10種類程度のヴィンサントを常時ご用意しており、全てグラスでオーダー頂くことが出来ます。
これだけ多くの銘柄を揃えているお店は、ちょっと珍しいんです。

あまり種類があると、どれを頼んで良いか分からないよ。というお客様には、まずはオススメするのがこちら。
サンジェルバジオのつくる【Rechinaio レチナイオ】という一本。

サンジェルバジオは、トスカーナ州ピサ地区のワイナリーで、設立当初の1990年から、有機栽培葡萄に基づいたワイン作りを行っている、所謂ビオロジックの作り手。
イタリアワイン界では知らぬ人はいない天才醸造家ルカ・ダットーマのコンサルタントを設立当初から仰ぎ、トスカーナでもトップクラスのワイナリーへと成長。コストパフォーマンスの高いワインにとても定評のある、人気の優良生産者です。

そんなサンジェルバジオが手掛ける ヴィンサント レチナイオ は、年間生産本数が僅か2000本にも満たないことに加え、樽での熟成が10年、瓶熟を2年という、非常に長い熟成期間を経て出荷されることから「幻のヴィンサント」と形容されています。

グラスに注げば、白葡萄主体とは思えないほどに綺麗な琥珀色、しっかりとした樽の香り。
レーズンや黒糖などの風味と凝縮感のある甘さ、それでいて酸味が綺麗で甘さとのバランスが絶妙。
ヴィンサントというワインの魅力と特徴の全てが、非常に分かりやすく良い形で表現されている、これぞヴィンサント!という一本なのです!

 

5. 他にもあるイタリアのヴィーノドルチェ

ロージス

最後に、ヴィンサント以外のイタリアのヴィーノドルチェ(デザートワイン)もご紹介。
同じように陰干し葡萄で作られる甘口ですが、品種や地域が異なることで、ヴィンサントとは違った魅力を持っているワインも沢山あるんです。
こちらも10〜15種類程度の銘柄を常時取り揃えています、様々なキャラクターがあるので、自分好みの一本を探す楽しみがありますね。
その中からオススメの一本をご紹介、カンティーナポルツァーノの手掛ける【Rosis ロージス】です。

北イタリア、アルトアディジェ州で作られるワインで「モスカートローザ」という葡萄品種を使用。
モスカートは白葡萄が有名ですが、ローザは黒葡萄品種のモスカート、その名の通り、マスカットや薔薇を思わせる非常に華やかでフルーティーな香りが特徴的で、ルビーのような煌びやかなロゼ色が見た目にも綺麗で、女性にとても人気のある一本。
リッチで濃厚な味わいのヴィンサントとは全く違う魅力を持った、美しい香水のようなデザートワインの一つです。

いかがでしたか?
甘口のお酒にはリラックス効果があります。
食後の口直しには勿論ですがナイトキャップ(寝酒)として1日の締めくくりにゆっくりと、そんな楽しみ方も素敵ですね。

次回は、当店のハウスワインとしてグラスでも提供している、スプマンテ、白ワイン、赤ワインをご紹介します。

 

Naoshi Morioka 森岡尚史
VinSanto Bar & Private room 恵比寿
03-3464-4641
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