キルホーマン蒸留所 スコッチモルトウイスキー解説評価 / 吉祥寺 Vision
2021/12/27
キルホーマン蒸留所について、徹底解説していきます。
キルホーマンの地理
生産国：スコットランド
地域：アイラ
キルホーマン蒸留所データと蒸留設備
所有者：キルホーマンディスティラリー社
設立年：2005年
年間生産能力：48万リットル
仕込水：オルトグリーンオスマイル川
糖化槽：ワンバッチ1.2トン
発酵槽：ステンレス12基
蒸留器：初留2基、再留2基
熟成庫：
キルホーマンの解説
キルホーマン蒸留所は2005年創業のかなり新しい蒸留所。アードナホー蒸留所の創業によりアイラで2番めに新しい蒸留所になりましたが、それまではアイラで最も新しい蒸留所でした。
創業者はアンソニー・ウィリス氏で、アイラ島の西側のロックサイドファームの建物の一部を改造してオープンしました。
キルホーマンの特徴は大きく2種類のウイスキーを作っていることです。
1つは、ポートエレン製麦工場から麦芽を購入して製造している50ppmの麦芽のもの。もう一つは、アイラ島の契約農家で栽培された麦芽を使用し、キルホーマン蒸留所内で製麦、ピートを焚いた、100％アイラシリーズという20ppmの麦芽のものです。
キルホーマン蒸留所は当初からアイラ島産100％を目指しており、2006年に麦芽を焚いたところキルンから火災が発生してしまい、一時的に生産をストップせざるを得なくなってしまっていて、それがなかったらもっと早く100％アイラを世に出せていたかもしれません。
創業間もない蒸留所ということで、製造量もかなり少なく、48万リットルしかありません。これはカリラの約13分の1となり、アイラ島でも最も少ない生産量です。しかしそれでも2019年に大幅に設備を増強し、これでも以前の約2倍の生産量となっています。
アイラモルトの需要増加によりキルホーマンも現在大変人気で、今後も生産量を増やしていくものと思われます。
キルホーマンの主なラインナップ
キルホーマン マキヤーベイ
キルホーマン蒸留所の主力商品。50ppmの麦芽を使用し、バーボン樽90％、シェリー樽10％でブレンドされた、バーボン樽主体のボトル。
鋭いピートと、切れ上がりの良い飲み口が特徴
キルホーマン サナイグ
キルホーマン蒸留所の第二の主力商品。50ppmの麦芽で、バーボン樽40％、シェリー樽60％でブレンド。
シェリー樽由来のレーズンの甘さが特徴で、ピートの強さをカバーする甘さが非常に心地よいボトルです。
キルホーマン 100％アイラ
アイラ島産の大麦を蒸留所内で製麦、20ppmnの麦芽で製造したアイラ島産100％のウイスキー。多分ですがアイラ島産ではないのは瓶だけと思われます。
20ppmとやや弱めのピートのため、ピートの香りに麦の香りが負けず、麦の甘さが引き立ち、非常にフルーティーなフレーバーとなっています。
キルホーマン ロッホゴルム
50ppmの麦芽で、シェリー樽100％で製造される年1回リリースの限定ボトル。
シェリー樽がピートの風味を包み混み、濃厚なドライフルーツやワインのフレーバーと、強い薫香が癖になる1本です。
キルホーマンの年表
2002年 西ハイランドのロックサイドファームに新蒸留所建設計画が立つ
2005年 6月に製造開始
2006年 キルンからの火災により、数週間製造を停止。更にその年の麦芽の製造停止
2007年 発酵槽を2基追加
2009年 最初のシングルモルト、3年熟成をリリース。その後セカンドリリースも発売
2010年 3種類の新商品をリリース、US市場に参入。ブナハーブン蒸留所のジョン・マクレーン氏がジェネラルマネージャーとして加わる
2011年 キルホーマン100％アイラを、4年〜5年熟成でリリース
2012年 最初のコア商品となるマキヤーベイを発売。一緒にシェリーカスク、100％アイラセカンドエディションをリリース
2013年 ロッホゴルム、2007ヴィンテージを発売
2014年 3年熟成ポートカスクを発売。蒸留所スタート10周年
2016年 左内具、ソーテルヌカスクを発売
2017年 ポルトガル赤ワイン樽熟成、2009ヴィンテージを発売
2018年 オリジナルカスクストレングス、2009ヴィンテージを発売
2019年 製造量を2倍に増強。それに伴い2台蒸留器を増設。限定商品としてSTRカスクを発売
2020年 アンビュラック、フィノシェリーカスクをリリース
2021年 PXシェリーカスク、マディラカスクをリリース
Wataru Kobayashi 小林渉
Vision Whisky bar 吉祥寺
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