標準語。 / 赤坂見附 アルジャーノン・シノニム

2014/01/13

年末、実家に帰った時に改めて感じたことがあるのですが、
我が家のある西伊豆・・・方言色がかなり濃いのです。

私は高校入学と同時に実家をはなれ、それから数えるほどしか
実家に帰ってはいないので、方言はすっかり抜けている・・・と思いきや
やはり地元に帰ると自然と方言を話しています。
自分でも無意識なのですが、かなり自然と出てきてしまうのです。

日本各地で違いのある方言。
県境で異なる場合もあれば、静岡のように県内でも違った方言のある県もありますね。

ちなみに静岡は富士川を境にかなり方言が変わります。
西よりの浜松のほうはかなり愛知の方言に近いのです。

上京してきた地方の方々の多くは方言を隠し、標準語と呼ばれる言葉を話しますよね。
でも、会話の中でもついつい出てしまう地方色・・・
私も「~だら?」という言葉を使った瞬間に地元が静岡だとばれてしまいます。
(別に隠してはいないのですが笑)

方言は、今のように通信機器の発達する以前、山や川に阻まれて地方ごとの
コミュニケーションがとれず、その場所で特有の言語発達したことで生まれました。

方言で有名なのはやはり「関西弁」。
関西の人たちの多くは東京にいても関西弁を話します。関西弁に誇りを持っていますね。

ですがなんだかんだ関西の人にとっても、意識の中ではやはり関東の言葉が
「標準語」であるらしく、私が大阪に住んでいた頃には
「あんた標準語やな」と冷たい目で言われた記憶があります。笑

そもそも、何をもって「標準語」なのでしょう?

教科書やニュース、雑誌や小説もすべて標準語を採用しているのですが、
これはどこから生まれた基準なのでしょうか?

今日は標準語とはなんぞやについてお話しますね。

日本語に標準語という概念が成立するのは明治以降のことです。
それは日本を近代的な国民国家として確立したいとする体制側の意志に基づいており、
明治20年代以降、義務教育のなかでこの標準的な日本語が生徒に教え込まれました。

「国民は共通の言語を話す」という点で、均一な民族なのだ
という意識が強くもたれるようになったのです。

「標準語」という概念には二重の意味合いがありました。

ひとつは話し言葉としての標準語のあり方、もうひとつは書き言葉と
話し言葉を通じての標準的な文体がどうあるべきかという点でした。

前者は、日本の近代化にとって欠かせない問題と意識され、
学校教育や社会教育の重要な課題となりました。
後者は文学者たちを中心に言文一致運動として展開されたのです。

話し言葉については、徳川時代以前には日本全体を通じての共通の言語、
つまり「標準語」のようなものはありませんでした。

どこの地方でも日本語を話していたので共通の枠組みはありましたが、
地域ごとに著しい違いがあったのです。

「標準語」を作り出す中で候補として挙げられたのは、
話し手の人口の多い、京都や大阪を中心にした関西の言葉と、江戸の言葉でした。

関東土着の言葉は、いわゆる「べらんめえ」口調として江戸の庶民の間で
使われていたのですが、それとは別の話し振りが武家社会を中心に成立していたのです。
それが今日の標準語の直接の祖先となっています。

江戸の武家社会は各藩の寄り合い所帯のようなものでした。
各藩の人々は、国元との往来を通じて地方の言語文化に深く結びついていた一方、
幕府や他藩との関係においては地方の文化を丸出しにすることができません。

そんな彼らは、互いに共通の言語を話す必要があったのです。
それは江戸土着の言語ではありません。
武家社会の中で、半ば人工的に作られた「第三の言葉」とも言うべきものだったのです。

徳川幕府が瓦解して各藩の人々が国許に去り、江戸は一時空っぽに近い状態に陥りましたが、
江戸の武家社会で使われていた言葉は死に絶えませんでした。

それは新たに東京の主人公になった薩長中心の官僚社会に引き継がれ、
いわゆる山の手言葉として生き残りました。

「~ざます」とか、「~あそばせ」といった、
お金持ちの御婦人が使うイメージのある言葉です。
これも東京の方言のひとつなのです。

明治政府が国語教育において、標準語のモデルとして採用したのはこの山の手言葉でした。
この山の手言葉には著しい特徴がありました。

まず第一に、武家社会における共通語の「子孫」
として作られた言語という色彩が強いことです。

自然発生的な言語というより、作られた言語。つまり学んで取得すべきものです。
その点が江戸土着の言葉とは違っています。

第二に、男性を主な話し手とする点です。
これは山の手言葉の先祖たる武家の言葉が、男社会の言葉であったことの帰結ですね。

武家社会は男の社会であるから、そこで使われる言葉は
男によって話されることしか想定していません。

こんなことから、今の標準語も、主に男性が発話するのに
都合のよいようにできているのです。

第三に、作られた言語という性格からもたらされることとして、
山の手言葉は非常に観念的で、乾いた、冷たさを感じる点です。

言葉の情報伝達機能には、意味の伝達と情動の伝達とが含まれるのですが、
山の手言葉はもっぱら意味の伝達のほうに重きをおいて、
情動の伝達あるいは表出にはあまり適していません。

このように、山の手言葉をモデルにして標準語という概念が成立すると、
方言というものに価値の転換が起こりました。

方言という言葉自体、徳川時代以前には基本的になかったもので、
標準語という概念が成立すると同時に、それの対概念として成立したものなのです。

方言を話す人間は野蛮だ、教養が無いと判断され、差別や迫害を受けた歴史もあります。

今でこそ愛される「方言」も、学校などで話してしまうと罰を受けたり・・・
なんとも寂しい時代があったのです。

私は、地元の方言がとても好きです。
関西弁みたいにメジャーではないですし、正直格好良い言葉ではないのですが
やっぱり聞くと一番安心できる地元の言葉。
ずっと大切に使い続けていってほしいなと思っています。

今日は方言と共通語についてでした!

ちなみに、安土桃山時代、来朝したポルトガル人の宣教師たちが、
日本後で説教
を行う時に採用した「共通語」は京言葉。
京都の上層階級の人々の用いる言葉だったのです。

というわけで、今日のお酒はこちらで。

ラフロイグ 2000 13y キングスバリー 京都ボトル

新入荷です。

Takayo Mano

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bar Algernon Synonym / 赤坂見附

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